• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

イングランド復讐劇の常套的悪役の近代初期性:反価値の人格化表象の文化史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00392
研究機関関東学院大学

研究代表者

中村 友紀  関東学院大学, 経営学部, 教授 (80529701)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード復讐劇 / 近代初期イングランド演劇 / 法学院 / 正義 / 古典 / 仮面劇 / ハムレット / ボレアリズム
研究実績の概要

2020-21年度にかけてパンデミックのために機会喪失していた研究成果の公表や調査を、22年度に延長して実施した。
1. この課題による成果を論文としてまとめ、2022年中に出版される予定の刊行物に投稿した。編集責任者から受理の連絡があったが、出版計画自体が半年以上遅れるとのことで、現在進展がない。
2. 2022年6月28日から7月4日にかけて、イタリアのローマ第1大学で開催された国際学会 "Shakespeare, Austin and Audiovisual Translation"にて口頭発表を行った。黒澤明の『蜘蛛巣城』DVDに付された2種の異なる字幕が、いわゆる文化の「厚い記述」として日本語、英語それぞれの文化の諸価値を、全く異なるベクトルで訳出している点を分析した。
3. 2023年2月12日から20日にかけて、大英図書館で調査を行った。主に以下の2つの調査を行った。(1)プロットやキャラクタライゼイションなどの、復讐劇の様式化されたコンベンションを検証するために、主に16-17世紀の法学院の仮面劇の劇作や上演にかかわる資料を調査した。法学院でのrevel開催やmasque上演、および教育活動の記録(例えばAntiquities of the Inns of Court and Chancery(1804年)やObservations on the Constitution, Customs and Usuage of the Honourable Society of the Middle Temple(1896年)やその他のミドル・テンプル法学院関連の資料など)を調査した。(2)直近の学会発表原稿の準備のため16世紀イングランドにおけるフランスからの輸入テクストの翻訳文化についての資料等を調査した。
4. 論文「ボレアリズム的『ハムレット』:映画『ノースマン』の北欧表象」(『比較文化研究』151号2023年4月発行)を執筆した。この論文は、2022年12月17日(土)に開催された日本比較文化学会関西支部例会にて、「ボレアリズム的ハムレット:『ノースマン』・アムレート伝説・シェイクスピアの『ハムレット』」の発表題目にて口頭発表したものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

課題を開始した当初より、16-17世紀の法学院での劇作・上演についての情報を収集することを優先順位の高い目標としていた。2022年度の調査により、これまでの先行研究では分析のみならず言及すら殆どなかった演目の詳細も入手でき、当課題の研究、および22年度からの次の課題にもつながる情報を得ることができた。また、延長したことで当課題にかかわる新たな論文をもう1編2022年度に学会で口頭発表することができた。当初は想定していなかった、映画翻案における字幕が、近代初期の、あるいはターゲット言語の文化圏の社会が持つ諸価値を、まったく異なる言語表現で表象するという問題に取り組むことができた。

今後の研究の推進方策

2022年度の学会で口頭発表を行った論文を2023年に出版するため、さらにもう1年、課題期間を延長した。延長の目的である論文の出版をもって、この課題を完了させる。

次年度使用額が生じた理由

2022年度に国際学会で口頭発表した論文を、2023年に出版する機会が新たにできたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] ボレアリズム的『ハムレット』:映画『ノースマン』の北欧表象2023

    • 著者名/発表者名
      中村友紀
    • 雑誌名

      比較文化研究

      巻: 151 ページ: 77-88

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi