研究実績の概要 |
本研究の目的は、19世紀アメリカに広く受け入れられていた自然史がソローやポーなどに見られる越境的想像力にどのように影響を与えていたかを包括的に考察することである。平成30年度の研究実績は以下のとおりである。2018年6月、京都で行われた国際ポー・ホーソーン会議(The Poe studies Association, The Poe Society of Japan, The Nathaniel Hawthorne Society, and The Nathaniel Hawthorne Society of Japan, Poe and Hawthorne International Conference in Kyoto, Japan)においてナサニエル・ホーソーン「イーサン・ブランド」について口頭発表を行い、作品の舞台となったグレイロックと当時の自然史研究との関連について言及した。2018年9月日本ナサニエル・ホーソーン協会中部支部研究会において、本研究課題に直接関連するエドガー・アラン・ポーの作品に見る自然科学の影響について口頭発表した。2019年3月にはアメリカ、ワシントンDCにおいて、アメリカの文学研究では最大規模の学術団体MLAの地方支部、北東支部MLAの年次大会でやはり本研究課題と直接関連する、エドガー・アラン・ポーの「黄金虫」に見る南部の自然史と作品との関りについて、口頭発表を行った。同じく2019年3月には倉橋洋子、高尾直知、竹野富美子、城戸光世編著『繋がりの詩学―近代アメリカの知的独立と〈知のコミュニティ〉の形成』(彩流社)において「まえがき」「『マサチューセッツの報告書』とソローの「マサチューセッツの博物誌」」を寄稿し、本論文ではソローとボストン博物学協会との関わり、またソローの作品への影響について考察した。
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