研究課題
基盤研究(C)
本研究では、当時のアメリカにおける自然史研究が国内外の情勢と密接に連動し、グローバルな言説空間を構成していたことを検証するとともに、ヘンリー・D・ソローやエドガー・アラン・ポーの作品を取り上げ、自然史がこれらの作品に与えた影響を分析した。この分析を通して、19世紀米国における自然史研究の多様性が明らかになり、ソローやポーの作品が地域に根差した自然史研究と密接にかかわりがあることを考察し、その研究成果を研究発表4件(国際学会2件)、共著論集2件で公表した。
19世紀アメリカ文学
本研究の学術的社会的意義は、19世紀アメリカ文学に影響を与えていた自然史を、複雑な国際情勢を内包した言説空間としてとらえなおし、自然史関連の史料も参照しながら、自然史思考がどのように19世紀アメリカ文学の文学的想像力に影響を与えたかを、立体的に考察したことにある。「アメリカ合衆国」という国の枠組みからだけでなく、国際間の知的ネットワーク、読者ネットワークなどに着目しながら自然史を軸に、俯瞰的にとらえようと試みることで、ソローやポーらの作品の分析に新たな視点を提供することができた。