研究課題/領域番号 |
18K00396
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉田 恭子 立命館大学, 文学部, 教授 (90338244)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | クリエイティヴ・ライティング / 現代アメリカ文学 / 翻訳研究 / 世界文学 |
研究実績の概要 |
2020年度は、前半はイギリスオックスフォード大学とイーストアングリア大学で資料収集・研究情報交換などを行う一方で、翻訳を中心に成果物を出版・発表することができた。後半は帰国後の資料の整理、成果物の執筆、翻訳に当てられた。 ブラウン大学のサワコ・ナカヤス氏の「反・翻訳」プロジェクトで実験的な翻訳コラボレーションを行い、雑誌・書籍の形で成果を発表した。また、蜂飼耳詩集『顔をあらう水』の英訳原稿を完成させ、その一部を雑誌掲載・学会での朗読紹介・イベントなどの形で発表することができた。イギリス滞在期間中は、翻訳研究グループの勉強会や、イーストアングリア大学英国文芸翻訳センター主催のサマースクールやシンポジウムに、ワークショップ講師やディスカッサント・司会として参加する機会を得て、次年度以降の研究進展のきっかけにつながった。 英国滞在中は、現代アメリカ文学をめぐる創作科および翻訳の役割についての論考を書肆侃侃房のウェブ連載に定期的に発表し、2020年末には、他の寄稿者の連載と一緒にまとめた単行本が出版され、それをきっかけに、創作科についての考察、現代アメリカ文学周辺の事情を一般向けに発表する機会も得た。 また、ジェイムズ・M・ケインの長編小説『ミルドレッド・ピアース』を翻訳出版するにあたり、合計100ページに及ぶ年譜編纂と「訳者解題」執筆を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定されていた海外の研究者の招聘や海外学会参加が、COVID-19パンデミックのために実現不可能となり、文献の読解・原稿の執筆・翻訳進展・オンラインによるシンポジウムなどで置き換わる形となった。そのため、日々の作業の方向性を調整せざるをえない状況で、研究成果は徐々に論集出版や翻訳出版の形になってきてはいるが、狭義の本研究課題については進捗が遅れており、予算の消化も遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
上記の事情により、次年度に海外との往来などが格段に改善されない場合は、本研究課題の延長などを視野に入れる必要がある。 冷戦期の創作教授哲学については、アーカイヴ調査などを延期することも予定している。 戦前1930年代にアイオワ大学に創作科が設置された当初、創作研究は創作技法の教授そのものでなく、文学理解の手段として理解されていた。第二次世界大戦前後で起こったと見られる創作教授哲学の変化について、新人文主義者らの著作を収集読解することで、本研究課題の補足的理解を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、海外学会(AWP)への参加を予定していたが、COVID-19パンデミックにより参加ができなかったため次年度使用額が生じた。 次年度にオンラインワークショップや資料収集などで使用する予定である。
|