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2019 年度 実施状況報告書

文学テクストによる論理的想像力の涵養ー英語教育の転換を図るための基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00397
研究機関大阪電気通信大学

研究代表者

杉村 寛子  大阪電気通信大学, 共通教育機構, 教授 (20411267)

研究分担者 工藤 多恵  関西学院大学, 理工学部, 准教授 (70342350)
南津 佳広  大阪電気通信大学, 共通教育機構, 准教授 (70616292)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード文学テクスト / 論理的想像力 / 翻訳 / 推論発問
研究実績の概要

2018年度に十全に果たせなかった翻訳と想像力に関係する文献(書籍)の検討および収集に努めた。特に『高等学校学習指導要領解説国語編』(平成22年版)と新たに発表された『高等教育学習指導要領(平成30年告示)解説国語編』における「想像力」の記述に大きな変化が生じていることがわかった。新たに展開される国語教育では「文学国語」という形で文学が別立てになったことと関係しているが、この国語教育における「想像力」の捉え方の変遷は、本研究の柱である「論理的想像力」の概念化に関して示唆を与えてくれた。
論理的想像力を涵養するために使用する文学テクストに関しては、長編小説の一部を教材として使用することも視野に入れ、英米の20世紀の小説を中心に検討を重ね、いくつか選び出した。これらテクストを基に推論発問を開発し、大学生や大学院生の協力を得、解答してもらったところ、英語の難易度や内容面で見直しすべき部分について指摘を受けた。
翻訳に関する新たな試みとしては、①読み手が持つ背景知識に差異がほとんど生じない、②読み手の持つ背景知識からはやや予想しづらい展開と結末を持つ、③読み手によって閉じられる結末を持つという特徴のある、簡易な英語でリライトされた物語を取り上げ、授業内課題とした。その産出された翻訳を分析すると、ほとんどの翻訳に橋渡し推論の痕跡が見られた。しかし、物語内容の理解とすでに読み手が持っている知識を組み合わせ、より深い読みが生じているところまでは観察されなかった。後者のような精緻化推論は上述の「論理的想像力」と関係し、このような読みを引き起こす教材上の工夫が必要である。以上については、第9回日本メディア英語学会年次大会においてデータの分析ととも詳述できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究代表者杉村が職務の関係上、校務にかけるエフォートが若干高くなり、予定したように文献研究が進まなかったこと、また共同研究者南津氏と渡英を計画、翻訳関係の研究者へのインタビューを実施する予定であったが、日程調整がうまくいかなかったことなどから、当初の計画より遅滞が生じることとなった。

今後の研究の推進方策

2020年9月に渡英を計画していたが、COIVD-19(新型コロナウイルス)のために、実施がかなり難しい状況である。この計画については日程の調整を改めて行なう必要が出てきた。滞っていた思考力(論理的想像力)ならびに翻訳関係の文献研究を意欲的に行ない、文学テクストと絡めて、学術論文としてまとめたい。また試行授業に用いる文学テクストを渉猟し、本研究の目的に合うものを同定していく作業も同時に進行させていく。

次年度使用額が生じた理由

主に旅費の執行が滞ったためである。英国で活躍する翻訳関係の研究者にインタビューおよび意見交換、さらに大英図書館にて文学や翻訳の関連資料の収集を計画していたにも関わらず、先方との日程調整がうまくできなかった。2020年度に渡英を計画し、執行の予定である。その他、文学や翻訳等に関連する専門書籍を購入する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ビルドゥングスロマンから逸脱するものーJane Eyreを手掛かりにAnne of Green Gablesを読み直す2020

    • 著者名/発表者名
      杉村寛子
    • 雑誌名

      新英米文学研究

      巻: 50-2 ページ: 45-53

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An Automated Reading Test Bank for Assessing Student Reading Ability2020

    • 著者名/発表者名
      Tae Kudo, Kym Jolley, Sei Sumi, Joshua Wilson, Laura Huston, Kent Jones
    • 雑誌名

      Kwansei Gakuin Researches in Higher Education vol.10 pp.135-149

      巻: Vol.10 ページ: 135-149

  • [雑誌論文] How Do Students Discuss a Literary Text on the Basis of their Interpretations? An Analysis of Students' Group Discussion2019

    • 著者名/発表者名
      Tae Kudo and Hiroko Sugimura
    • 雑誌名

      Media, English and Communication: A Journal of the Japan Association for Media English Studies

      巻: Vol.9 ページ: 5-22

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シンポジウム報告「教育と翻訳通訳ーどのメディアをいかに教育に応用するかー」2019

    • 著者名/発表者名
      南津佳広,杉村寛子,工藤多恵,金井啓子
    • 雑誌名

      Media, English and Communication: A Journal of the Japan Association for Media English Studies

      巻: Vol.9 ページ: 57-77

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 文学と通訳の公開教養講座開催の報告2019

    • 著者名/発表者名
      南津佳広,杉村寛子,松田正貴,上垣公明
    • 雑誌名

      大阪電気通信大学人間科学研究

      巻: 21 ページ: 131-141

    • 査読あり
  • [学会発表] サイトトランスレーションにおける語用論的処理に関する一考察2019

    • 著者名/発表者名
      南津佳広
    • 学会等名
      第48回九州英語教育学会宮崎研究大会(於:宮崎公立大学)
  • [学会発表] 思考の礎のひとつとしての推論力の構築 -翻訳を通したメディアとしての文学テクスト活用の可能性を探る-2019

    • 著者名/発表者名
      南津佳広・中内啓太・杉村寛子
    • 学会等名
      第9回日本メディア英語学会年次大会
  • [学会発表] Unified Vocavulary and Reading Comprehension Assessments with the Automated Test Maker2019

    • 著者名/発表者名
      Tae Kudo, Sei Sumi, and Kym Jolley
    • 学会等名
      The 2nd JACET Summer Seminar (46th) and English Education (7th) Joint Seminar

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公開日: 2021-01-27  

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