研究課題/領域番号 |
18K00397
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
杉村 寛子 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 教授 (20411267)
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研究分担者 |
工藤 多恵 関西学院大学, 工学部, 教授 (70342350)
南津 佳広 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 准教授 (70616292)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 文学 / 英語教育 / 翻訳 |
研究実績の概要 |
杉村は本研究のキーワードである「論理的想像力」の想像力の概念についてある程度整理することができた。教育的観点から「想像力」を論じた K. Egan による Imagination in Teaching and Learning を基に文献研究を広げ、古代ギリシャから D. Hume や I. Kant を概観し、さらに19世紀ロマン主義におけるまで、本概念の変遷を追った。この結果を一部用いて、2020年10月に日本メディア英語学会にて口頭発表を行なった。工藤は、思考力を涵養する文学作品(小説)を検討するために、いくつかの候補となる短編小説を使い、推論発問を中心とする教材を試作した。さらに実際にこれらの教材を用い、本務校の大学生にレポート課題として取り組ませた。結果の収集はしたものの、時間の関係でまだその分析には至っていない。また工藤と杉村は、思考を刺激させる方法としてのディスカッションを活用した2つの試行授業を比較する論文を完成した。ここでは文学作品を読み、意見を述べ合うことで、より発展的な読みが可能になる方法を探っている。南津は、英語教育における翻訳の導入方法を緒を補強するために、S.L. Levine および D. Large et al.による「翻訳不可能性」に関する文献研究を行なった。さらに翻訳の初級的な授業を行い、看板・ウェブサイト・メール・パワーポイント資料・論文の要約を取り扱った。厳密な意味での等価翻訳ができない箇所に焦点を当てて省察を行わせることで、翻訳プロセスにおいてどの段階で論理的想像力を行なっているのかなどのデータを収集した。また字幕翻訳の授業も行い、字義通りの翻訳から字幕用に編集を行なうにあたり、具体的にどのように演繹的な論理的想像力を駆使しているのかデータを収集した。この結果を次年度に整理していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のため、代表者および分担者の本務校における遠隔授業の対応等に追われたこともあり、試行授業の結果収集したデータの分析まで着手することができなかった。また同じくコロナ禍のため、計画していた渡英ができず、The British Libraryでの資料収集も、翻訳研究者とのインタビューも実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に渡英による研究調査を延期したが、引き続きコロナ禍の影響があり、この計画には見直しが必要となった。しかし、遠隔授業も2年目に入り、授業形態にも慣れたことから、2021年度は「論理的想像力」に関する評価項目に基づき、新たに試行授業を実施し、データを収集したい。また前年度収集したデータの分析を行ない、論文にまとめ発表する。文献研究に関しては、今少し加速度を増す必要があり、これは研究代表者による重点課題である。いずれにせよ、完成年度に至るので、これまでの文献研究と試行授業を初めとする実証的な研究の総括をしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に9月に予定していた調査研究のための渡英が実行できなかったことによる。
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