研究課題/領域番号 |
18K00400
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
地村 彰之 岡山理科大学, 教育学部, 教授 (00131409)
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研究分担者 |
中尾 佳行 福山大学, 大学教育センター, 教授 (10136153)
佐藤 健一 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 教授 (30284219)
川野 徳幸 広島大学, 平和センター, 教授 (30304463)
大野 英志 広島大学, 文学研究科, 准教授 (80299271)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | チョーサー / 『カンタベリー物語』 / コンピュータ / 写本 / 印刷本 / 計量的比較 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ジェフリ・チョーサー写本と刊本の言語について、コンピュータを利用し、その英語の語彙・統語・文体を総合的に研究し、チョーサーの textual criticismに貢献することにある。 本研究では、すでに成果を出したCaxton版『カンタベリー物語』[初版(c 1476)(Cx1)と第2版(c 1482)(Cx2)]に加えて、キャクストン以後の重要な印刷本であるPynson版(1492)とWynkyn de Worde版(1498)と他の写本やテクストとの間に生じた異同の問題を取り上げている。Hengwrt(ヘングウルト)写本とEllesmere(エルズミア)写本は『カンタベリー物語』の代表的写本であるが、印刷本としてはキャクストン版に次いで15世紀後期に作成されたPynson版(1492)とWynkyn de Worde版(1498)は印刷本として重要なものである。どのように英語の標準化の過程に大きく関わっているかについても研究の対象にしている。本研究は、今日までのテクストの伝達と継承の問題を考えるための基盤的研究である。 特に、今回は16世紀初頭の印刷本 Thynne版(1532)をデータを入力している。『カンタベリー物語』の代表的写本と初期印刷本と今日用いられている刊本とが容易に比較できるように、パソコン上でのテクスト処理法の第一段階に達したといえる。つまり、Hengwrt写本、Ellesmere写本、Blake版、Benson版、Caxton版[初版(Cx1)]、Caxton版[第2(Cx2)]、Pynson版、Wynkyn de Worde版、Thynne版を縦軸に並べて一目で共通点と相違点を把握できるデータを作成してきた。読み取りにくいところは原典を直接見て確認する作業も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は16世紀初頭の印刷本Thynne版のデータ入力をすすめた。『カンタベリー物語』の代表的写本と初期印刷本と今日用いられている刊本とが容易に比較できるように、パソコン上でのテクスト処理法の第一段階に達したといえる。引き続き2年目も Hengwrt写本、Ellesmere写本、Blake版、Benson版、Caxton版[初版(Cx1)]、Caxton版[第2版(Cx2)]、Pynson版、Wynkyn de Worde版、Thynne版を縦軸に並べて一目で共通点と相違点が把握できるデータの作成を行ってきた。その結果、部分的に16世紀初頭印刷本の英語の特徴が見えてきている。
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今後の研究の推進方策 |
計量統計学の専門家である研究分担者の佐藤健一氏によって、各テキストを2次元上で分析(Cmdscale)したり、各テキストの距離をクラスター分析(hclust)する統計解析のノウハウを提供してもらっている。言語統計解析を加えることによって、今まで以上に客観的な分析を進めていくことになる。中尾佳行氏、川野徳幸氏、大野英志氏とともにデータ入力を行い、総合的に本研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度において、テクストのデータ入力のために、さらなる予算が必要であるため。
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