研究課題/領域番号 |
18K00403
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中村 嘉雄 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 准教授 (40346739)
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研究分担者 |
小笠原 亜衣 関西学院大学, 法学部, 教授 (60440202)
塚田 幸光 関西学院大学, 法学部, 教授 (40513908)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | クロスメディア / アメリカ / 優生学(優環学) / 工業デザイン / 表象文化 / 視覚芸術 / ニューディール |
研究実績の概要 |
令和2年度、研究代表者の中村は本課題研究の最終的なまとめとして、19世紀から1930年代ニューディールまでの身体のマシーン化と優生学との関連性について包括的な歴史的考察を行った。そして、19世紀以降のアメリカの食の近代化=マシーン化の歴史が19世紀末以降の優生学と合流し、理想的身体=マシーン的身体を生み出す強力な政治的レトリックの一つとして機能したことを確認した。コロナ禍で、当該研究の成果発表を予定していた国際学会も延期になり、さらに、アメリカでの現地調査も断念せざるを得なかったが、デジタル化された第一次資料を活用するなどして論証に必要な検証を行うことができた。なお、本研究成果は共著書として本年度中に提出され、世に問う予定である。 各分担者も研究活動が著しく制限される中、順調に成果を上げている。特に研究分担者の小笠原は本研究に深く関連する単著を出版し、アメリカン・アートにおける優生学および身体のマシーン化の過程を分析、実証した。なかでも、エドワード・ホッパーの絵画分析、およびアメリカン・リアリズムと抽象表現主義との関連についての分析は当時の写真論へも応用可能であり、分析成果の妥当性を確認するととともに、分析の領域をさらに広めるものである。同じく、研究分担者の塚田も30年代の映画、ジャーナルを中心に検証作業を行い成果を挙げた。二人の研究成果についても、前述の共著論文において社会に報告予定である。 また、本課題研究によって、ニューディール期以降のパックス・アメリカーナ期における政治的身体を再考する理論的前提が得られたことも大きな収穫であった。その理論的知見は同研究体制でなされる科研課題研究(「モダンから俯瞰する━パックス・アメリカーナ期の身体の政治学研究」(21K00382)」へと引き継がれ、今回の成果のより幅広い時代での妥当性の確認、分析・検証作業が可能となった。
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