研究課題/領域番号 |
18K00404
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
堀 智弘 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (10634719)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ジャクソニアン・デモクラシー / 世俗化 / 逃亡奴隷体験記 |
研究実績の概要 |
2019年9月21日から29日にかけて、アメリカ合衆国ジョージア州に研究調査のための出張を行い、南部・カリブ海文学の研究者であるジョージア大学のJohn W. Lowe教授との意見交換と大学図書館での資料調査を実施したことで、本研究課題の新たな方向性を見出すことができた。さらに、アトランタのMartin Luther King, Jr., National Historic SitesやCenter for Civil and Human Rightsなどを見学し、アフリカ系アメリカ人の文化についてより巨視的な理解を深めた。 ジャクソニアン・デモクラシーへの助走となる建国後のアメリカ社会の世俗化と物語形式の変容に関連して、崇高の言説がゴシック小説にどのような影響を与えたのかという観点からCharles Brockden BrownのEdgar Huntly (1799) を読解した英語論文を執筆し、学会誌に掲載された。 前年度から引き続き、十九世紀半ばの代表的な奴隷制文学であるFrederick Douglassの第二自伝My Bondage and My Freedom (1855)の第3章から第6章までの翻訳を行い、関連する事柄について調査を行うことで、本研究課題の遂行に役立つような知見を得ることができた。 本研究課題に関連する文献を引き続き収集し、研究の遂行のための資料をかなりの程度整備することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ジョージア大学のJohn W. Lowe教授との意見交換やジョージア大学図書館での資料調査の結果として、モダニズム期のアフリカ系アメリカ人文学の発展も視野に収めた上で研究を進める必要性が明らかになった。 ジャクソニアン・デモクラシー期の理神論を中心とした宗教的思想と世俗的思想の交差について関連する文献を集め、研究を進めた結果、同時代の科学的思想との関連性については理解を深めることができたが、確率論についてはほとんど研究を進めることができなかった。 Frederick DouglassのMy Bondage and My Freedomの翻訳作業のなかで関連する調査を行ったことで、ジャクソニアン・デモクラシー期の文化についての理解を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度になるので、Frederick DouglassのMy Bondage and My Freedomにおける理神論の影響について、同じテーマについての以前の学会発表よりも一段踏み込んだ学会発表を行い、まとめとなる論文を執筆する。 同時に、本研究により広い文学史的な視野をもたせるため、モダニズム期のアフリカ系アメリカ人文学、特にハーレムルネッサンスの先駆的な作家Claude McKayについて研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ごくわずかな次年度使用額が生じたが、ほぼ使用計画通りの支出額となっているので、翌年度も当初の使用計画に沿ったかたちで執行する。
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