研究実績の概要 |
①Marina MacKay等のLate Modernismおよびそれ以降の研究を批判的にとらえたヴァージニア・ウルフ協会シンポジウムをもとに、髙田英和・大田信良ほか編著『ブライト・ヤング・ピープルと保守的モダニティ――英国モダニズムの延命』(小鳥遊書房, 2022)を出版、20世紀の文化空間においてブライト・ヤング・ピープルという大衆化の文化の再評価の可能性を探ることにより、英国モダニズムならびにその保守的モダニティを批判的に検討した。
②2021年5月菊池かおり・大田信良ほか編著『アール・デコと英国モダニズム――20世紀文化空間のリ・デザイン』(小鳥遊書房2021)を出版した。20世紀の文化空間においてアール・デコという大衆化の文化の再評価の可能性を探ることにより、英国モダニズムならびにその保守的モダニティを批判的に検討したこの研究は、第2次大戦後の日本における世界市民あるいはシティズンシップの理念に基づいた英文学・英語学習を狭義の文学を超えた空間において解釈したもので、冷戦期に制度化された英米文学・文化とポスト帝国日本における英国文学・文化を、モダニティ以降の歴史的過程において、とらえ直した成果である。
③これらは、個別に発表した8本の論文業績とともに、新たなイングリッシュ・スタディーズあるいは現在の英語教育から見直す「英文学」と20世紀の英語教育の可能性を探ったものである。これまで計画・設計されその後もかたちを変えてリ・デザインされてきた「グローバル・イングリッシュ」の歴史的編制を、グローバルな帝国の文化という視角から、解釈した。具体的には、H・G・ウェルズの小説、オクスフォード英文学、第1次大戦後のリベラルな国際秩序やトラウマの問題をバルカンの空間に接続して描いたヴァージニア・ウルフの小説等々に、また、『あるびよんー英文化綜合誌』や福原麟太郎の英語教育論に、探った。
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