21世紀の現在、旧来の英国文学・文化研究とは異なり新たな「英語文学」や英米両国の英語を中心とした「世界文学」が産出されてきているが、本研究は、それらがさまざまに概念化しかつ表象する成長のアンチノミーの問題、たとえば、経済的成長と政治的民主主義との間の対立・矛盾を、第2次大戦敗戦後のポスト帝国という日本の地政学的条件についても考慮しながら歴史化することにより、新たなイングリッシュ・スタディーズのプロジェクトを理論的に探るとともに具体的な解釈を遂行した。換言すれば、既存の「英語文学」や「世界文学」について、「長い20世紀」(G・アリギ)というマッピングにより、より統一的に解釈することを、試みた。
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