研究実績の概要 |
本研究の目的は、これまで蓄積してきた小説から映像へのアダプテーションについての考察を深化させるとともに、研究対象を「ザ・ワイヤー」をはじめとする最近のテレビドラマに見られる「ヴィジュアル・ノヴェル」というコンセプトへと拡大し、ディケンズを軸にして言語表現と映像表現の関係を探究することである。 2018年度の研究実施計画には、アダプテーションのプロセスの根本となるオリジナル作品、すなわち、この場合はディケンズの小説『荒涼館』、の作品分析、および前回科研費研究から今回の研究のリンクとなる広い意味でのアダプテーションについての研究成果を世に問うことが含まれており、この計画にしたがって、国内の学術誌と、国際的に著名な学術誌に1本ずつ、計2本の研究論文を発表した。 備品費で購入した映像資料を活用し、今後の研究・分析の対象となり得るテレビドラマの広範な実例に接することができた。購入した文献の中では、特に、Greg Metcalf, The DVD Novel(2012)およびAmy M. Damico & Sara E. Quay, 21st-Century TV Dramas(2016)に啓発されるところが多かった。 旅費を利用した外国出張では、ロンドンのDickens Museum, British Film Instituteなどで文献・映像資料の調査を行い、かつ、ディケンズの『荒涼館』についてMichael Slaterロンドン大学名誉教授のレビューを受けることができた。
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