研究課題/領域番号 |
18K00424
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
真部 多真記 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (30364483)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ジョン・フォックス / オールドカスル / ロラード派 / 歴史劇 |
研究実績の概要 |
今年度はイングランドの宗教改革史に複雑な立場で生き続けるオールドカスルを主人公にした、海軍大臣一座の『サー・ジョン・オールドカスル』を取り上げた。従来の研究では、ジュディス・スパイクスがこの劇をジョン・フォックスの『殉教者列伝』に取材した一連の劇(Foxean Plays)のひとつであり、選民思想を描いたものとして結論づけている。そこで、今年度はまず『殉教者列伝』におけるフォックスの描くオールドカスル像を分析した。フォックスは従来の歴史記述にみられるオールドカスルへの偏見を、歴史記述や年代記が実証的ではないことをあげて批判し、ロラード派の転覆性とオールドカスルの反乱への関与を否定している。また、フォックスはオールドカスルの書物と執筆への信頼を否定の根拠としてあげている。この書物と執筆への信頼がオールドカスルを理解する上でのひとつのポイントになっていることを指摘し、その後の年代記や劇でのオールドカスル表象に影響を与えていることを指摘した。 以上のフォックスのオールドカスル表象を踏まえ、次に、『サー・ジョン・オールドカスル』の分析をした。この劇はシェイクスピアの『ヘンリー四世』二部作におけるフォールスタッフ表象に対する反論として創作されたと理解されてきた。しかし、劇の焦点はオールドカスル像の軌道修正や選民思想ではなく、彼が信奉したとされるロラード派の暴動への関与とロチェスター司教の人物像にこめられた反カトリック性であると推察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はジョン・フォックスの『殉教者列伝』が執筆された背景と、フォックス自身がロラード派ならびに殉教者オールドカスルをどのように描いたかを分析した。そして、『サー・ジョン・オールドカスル』ではフォックスのオールドカスル像はどのように変化しているかを分析した。この作品にみられる海軍大臣一座の宗教観について現在まとめている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、歴史劇を劇団のレパートリーや政治との関わりの中で考察する。具体的には、1600年代以降の歴史劇『ヘンリー八世』と1590年代の歴史劇との違いを、1600年代のシェイクスピア以外の歴史劇との比較と劇団の状況から考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度中に購入予定だった書籍の購入が遅れたため、次年度使用額が生じた。2019年度にすみやかにこれらの書籍を購入する。また、デジタルアーカイヴズを大学図書館等で使用するため、旅費としても使用する計画である。
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