本研究は、エコクリティシズムから、1850~1940年代に至る日英(欧米)文学図像における擬人化表象(動物表象は除外)を、文学・美術・社会・科学観・子ども観等から考察する学際・比較研究である。申請者が、平成27~29年度、基盤研究(C)を受けた研究課題の継承発展を目的とする。文学研究において、未確立の視覚表象研究手法を用いた、環境批評からの、日英版文学図像における擬人化表象に関わる比較研究である。本研究では、植物や無生物が、日英の子どもの挿絵で、どのように擬人化され、変遷したのか、そこに埋め込まれたエコロジーに対する文化的意味を、創作の過程、日英の擬人化の歴史、技法(描写・構図・空間処理等)、科学観、日英文化交流(文学・美術・思想)から探り、西洋的価値体系における自然観と日本の自然観の位相、人間と自然の対立融合共生の変遷を、比較検証解明することを、目的とする。 本年度および研究計画全体を通じた実施研究としては、主に次の5点が挙げられる。1.海外調査:英国ケンブリッジ大学図書館、British Library、北欧図書館等での、1850~1940年代の英欧文学図像における擬人化表象に関する研究調査、資料収集複写。2.国内調査:国会図書館、都立多摩図書館、神奈川近代文学館、イルフ童画館等での同表象に関する研究調査、資料収集複写。3.英国の連携研究者との共同研究と討議 4.2018~2020年度に収集した日欧画像資料のデジタル化 4.擬人化及びエコロジー、挿絵、美術等に関する専門書等での調査研究 5.成果発表―「武井武雄の『ガリヴァー旅行記』図像」『古書通信』(2020年)など。 なお本研究課題は、次期研究課題「環境批評から考察した19-20世紀日英文学図像にみる擬人化表象と東西交差の系譜」(2021-2013)に時代地域を拡大し継承発展される。
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