本研究の目的は、環太平洋地域におけるヴェトナム系アメリカ人芸術家の活動に焦点をあて、彼らが創る太平洋横断的な複合文化の論理と倫理を問うことであった。この地域でのヴェトナム系芸術家台頭の背景には、1) 戦争終結から 40 年余りを経て脱越者とヴェトナム社会主義政府のイデオロギー対立が緩和され、帰越する芸術家が増えていること; 2) タイ、日本、豪州等を拠点に、汎アジア的な文化形成に寄与する芸術家が増えている点が指摘される。本研究では、アメリカでの現地調査、文献等資料による研究調査を中心に、ヴェトナム系アメリカ文化の現状を、小説等文学作品、映像芸術、身体的パフォーマンス等を例に幅広く分析した。
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