研究課題/領域番号 |
18K00436
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
木村 晶子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70267459)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 女性のゴシック / アン・ラドクリフ / メアリー・ウルストンクラフト / アン・ブロンテ / フランケンシュタイン / メアリー・シェリー |
研究実績の概要 |
今年度は、〈女性のゴシック〉の原点と言える18世紀のアン・ラドクリフに関するさらなる研究、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』、および、その後のヴィクトリア朝のブロンテ姉妹におけるその〈女性のゴシック〉的要素の継承を中心に研究した。 2021年夏には『早稲田文学 2022年秋号 特集ホラーのリアリティ』(早稲田文学会発行、筑摩書房発売)に寄稿を依頼され、「女性のゴシック」というタイトルで、このジャンルの紹介、その歴史的経緯などを説明する論文を執筆した。 2021年10月には、日本ブロンテ協会においてアン・ブロンテ生誕200年記念のシンポジウム(コロナ禍によって、2020年の予定が一年延期となる)が開催され、その登壇者のひとりとして、「アン・ブロンテの『ワイルドフェル・ホールの住人』における〈女性のゴシック〉」というテーマで発表を行った。その成果についても論文にまとめ、来年度に発表予定である。アン・ラドクリフの作品におけるヒロインの感受性の抑制という要素と、メアリー・ウルストンクラフトの『マライア、あるいは女性の虐待』に見られる夫による妻の虐待や監禁、母性などの18世紀的な女性のゴシックの要素が、『ワイルドフェル・ホールの住人』には見出せることを論じた。 また、2022年1月からは、NHK BSプレミアムのダークサイドミステリーという番組で『フランケンシュタインとメアリー・シェリー』(2022年4月21日放送)を取り上げることとなり、制作面での協力や番組内での対談の収録を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
家庭の事情(介護)により、大幅に研究が遅れている。当初の計画の見直しも必要となっている。 ただし、今回の科研費に採択していただけたことにより、雑誌やテレビ番組の依頼なども受けることができ、思いがけず、〈女性のゴシック〉のテーマを少しでも広く紹介することが可能になった年度だった。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、日本オースティン協会主催のシンポジウム「アン・ラドクリフ」の登壇者の依頼があるため、まず、アン・ラドクリフの研究をさらに深化して、ヴィクトリア朝、またその後の女性作家へのゴシック的要素の継承を研究してゆく。ブロンテ姉妹、エリザベス・ギャスケル、ジョージ・エリオットとの関連を整理して、明確にしてゆく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
介護などにより、研究が大幅に遅れたことと、今年度の研究に関しては、これまでの資料や文献を使うことが多かったため。
|