研究課題/領域番号 |
18K00439
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
中村 仁紀 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (30582564)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コウルリッジ / ロマン主義 / 経験科学 / 方法論方法論 |
研究実績の概要 |
当該年度は、18世紀経験科学とロマン主義に共有されている方法論上の問題意識が思想史の中でどのように展開したかを大きなテーマとしつつ、それを具体的に論証するために、以下の二つの下位テーマに取り組んだ。 1)前年度に引き続き、ロマン主義における「生命」概念がコウルリッジ、シェリー、ブレイクなどの作品や論考の中でどのように表象されているかを確認し、経験科学、とりわけ生理学や電気磁気研究の領域に見られる方法論を踏まえながらそれらとロマン主義思想との接点や受容のされ方を整理した。成果は次年度以降に口頭発表および論文としてまとめる予定である。 2)S. T. コウルリッジの国家観・歴史観が保守的な傾向を持つようになる1810年代以降、彼がアングリカニズムを足場にしながら複数の科学言説を取り込みつつ“constitution”概念を規定・運用していった際の論証の手続きについて考察した。これまでは晩年の作品On the Constitution of Church and State (1829)を中心に進めてきたが、そうした彼の論証を支える「方法」(Method)概念の形成過程にも目を向け、1810年代の彼の複数の著作の執筆・出版プロセスの中でその概念がどのように生まれてきたのかをもう少し詳細に検証しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度も前年度同様校務の関係で十分な研究の時間が確保できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2回目の延長申請をして最終年度となっている2022年度は、「研究実績の概要」で記した1)2)の両方の課題を引き続き進め、論文として投稿できるように準備する予定である。大きな見通しとしてはロマン主義における科学と政治を切り結ぶ「原理」の概念の生成・展開の過程を辿りながら、同時代の複数の学問領域(歴史、道徳、宗教、言語など)でそれがどのように適用され発展しているかを考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度も前年度に引き続きコロナ禍の影響も含め研究以外の業務(校務、学会業務など)の増加に伴い計画通りに研究を進めることができず、予定していた経費も使用しないものが多く発生した。次年度に繰り越した分は文献の調達、出張費、英文原稿校正に充てる予定である。
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