本研究においては、1260年頃に聖地で作成された中世フランス語版『テンプル騎士団会則』の語彙を、パリのフランス国立図書館に所蔵されているフランス語写本第1977番と、Henri de Curzon が1886年に出版した近代版と Giovanni Amatuccio が2009年に上梓した近代版とを比較しながら検討した。従来、語彙研究の観点からは綿密な調査の対象になっていなかったこの作品を研究する過程で、刊本と各種辞書に見られる誤謬を修正し、フランス語史と言語地理学の観点から重要な意義をもつ用例を発見することができた。
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