研究課題/領域番号 |
18K00445
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 正美 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (10326621)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロシア / 非公式芸術 / 外国文学 / 比較文学 / 現代詩 / 芸術諸学 / ジャズ / ロック |
研究実績の概要 |
研究代表者である鈴木正美を研究の統括者として、①「サンクト・ペテルブルクにおけるロック文化の進化と変容」研究グループ(岡島豊樹、中野圭、セルゲイ・レートフ、アレクセイ・ボリーソフ、アレクサンドル・ベリャーエフ)、②「サンクト・ペテルブルクにおける非公式芸術の誕生と発達」研究グループ(鈴木正美、ミハイル・スホーチン、リュドミーラ・ドミートリエヴァ)、③「人形劇と他ジャンルとの交流と協働」研究グループ(大井弘子、吉原深和子、ナターリヤ・コストローヴァ)が各々研究にあたり、次の2回の研究会を行った。第1回研究会「ポスト・クリョ-ヒン・スタディーズ」(2019年6月9日、水道橋Ftarriで開催。報告者:鈴木正美、岡島豊樹、山田光、中野圭)、第2回研究会「ポスト・クリョ-ヒン・スタディーズ」(2020年1月18日および19日、水道橋Ftarriで開催。報告者:鈴木正美、岡島豊樹、アレクセイ・クルグロフ) 2019年12月11日-18日、モスクワの文化センター「ドム」、現代美術館「ガレージ」、国立現代美術センターおよび「Art of Doll 展」で研究調査、資料収集を行った。また、研究協力者のセルゲイ・レートフ、アレクセイ・ボリーソフ、アレクサンドル・ベリャーエフと研究打ち合わせを行うと共に、貴重な資料を提供された。その他、諸関係者と面会し、多くの資料を入手することができた。 また、セルゲイ・クリョーヒンの遺作『無言の証人』の翻訳を順調に進めており、年内の出版を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、サンクト・ペテルブルクのロック文化と非公式芸術に関する資料の収集・調査はもちろんのこと、この文化と芸術に関わった芸術家、音楽家、 詩人などに現地で聞き取り調査をし、多面的なアプローチを行うことによって、20世紀後半から現代に至るサンクト・ペテルブルクの文化の多面的・複合的特質 を明らかにすることにある。そこで、本年度は2018年11月サンクト・ペテルブルクで行った研究調査および2019年3月にモスクワで行った研究調査を中心に研究報告会を行った。また、サンクト・ペテルブルクで約2年間音楽活動を行った経験のある山田光氏、2004年にグループExiasJと共に実験音響ギャラリーGES-21でコンサートを行った中野圭氏と共に、サンクト・ペテルブルクの音楽文化について討論した。これによりセルゲイ・クリョーヒン以降のサンクト・ペテルブルクのロック文化の推移、音楽の現状に関していくつか明らかにすることができた。 鈴木正美は2019年12月11日-18日、モスクワで現地調査を行った。イマ・ナロディツカヤ、アレクセイ・クルグロフ等から聞き取り調査を行うことができたばかりか、日本では入手困難な貴重な資料を多数入手した。 当該研究に関わる資料(書籍、論文、音源、画像、映像)は順調に収集しており、上記の研究協力者の尽力により、研究に協力してくれる関係者がさらに増えたことで、研究の幅がさらに広がっている。また、セルゲイ・クリョーヒンの遺作『無言の証人』の翻訳を進めているが、出版社も決まり、クリョーヒン研究の成果が一般公開できることが確実になった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の核となる①「サンクト・ペテルブルクにおけるロック文化の進化と変容」研究グループ(岡島豊樹、中野圭、セルゲイ・レートフ、アレクセイ・ボリー ソフ、アレクサンドル・ベリャーエフ)、②「サンクト・ペテルブルクにおける非公式芸術の誕生と発達」研究グループ(鈴木正美、ミハイル・スホーチン、リュドミーラ・ドミートリエヴァ)、③「人形劇と他ジャンルとの交流と協働」研究グループ(大井弘子、吉原深和子、ナターリヤ・コストローヴァ)という3つのテーマごとに研究グループをつくり、それぞれの領域で研究を行う。 令和2年度はこれまでの調査・研究をもとに、研究をより網羅的、包括的なものへと発展させる。新型コロナ・ウィルスの感染状況によるが、10月には本研究プロジェクト参加者による研究報告会を開催する予定である。さらに現地調査での具体的な調査内容を再検討する。海外の研究協力者とは電子メールによる討議を重ね、現地踏査に関しても意見交換をし、調査におけるさまざまなコーディネートを依頼する。各研究グループは必要に応じて個別の研究打ち合わせを行い、研究をさらに進めていく。さらに鈴木正美は研究協力者のリュドミーラ・ドミートリエヴァ、セルゲイ・レートフの協力のもとサンクト・ペテルブルクとモスクワで現地調査を行うことで、現地の関係者・研究者とのより広い人的ネットワークを築いていく。令和2年1月にはクリョーヒン夫人のアナスタシア・クリョーヒナを招へいしての公開研究会を開催し、広く一般に研究成果を還元する。また、セルゲイ・クリョーヒン著『無言の証人』を出版する。3月には研究報告書をまとめ、研究会ホームページでも公開する。
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