研究課題/領域番号 |
18K00445
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 正美 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (10326621)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ロシア / 非公式芸術 / 外国文学 / 比較文学 / 現代詩 / 芸術諸学 / ジャズ / ロック |
研究実績の概要 |
研究代表者である鈴木正美を研究の統括者として、①「サンクト・ペテルブルクにおけるロック文化の進化と変容」研究グループ(岡島豊樹、中野圭、セルゲイ・レートフ、アレクセイ・ボリーソフ、アレクサンドル・ベリャーエフ)、②「サンクト・ペテルブルクにおける非公式芸術の誕生と発達」研究グループ(鈴木正美、ミハイル・スホーチン、リュドミーラ・ドミートリエヴァ)、③「人形劇と他ジャンルとの交流と協働」研究グループ(大井弘子、吉原深和子、ナターリヤ・コストローヴァ)が各々研究にあたった。新型コロナ・ウィルス感染が拡大する中、対面での公開研究会は行わず、お互いにメールで連絡を取り合いながら、個別の研究を進めた。 研究代表者の鈴木正美はセルゲイ・クリョーヒンの遺作『無言の証人』の翻訳をほぼ終え、2021年秋に出版を予定している。研究メンバーの岡島豊樹は『ソ連メロディヤ・ジャズ盤の宇宙』(カンパニー社)を編纂し、2021年4月に出版した。また、大井弘子の夫で、旧ソ連圏の人形劇の研究・紹介に尽力した故大井数雄氏の蔵書約4000冊が新潟大学環東アジア研究センターに寄贈されたので、書誌データの入力・整理を進めている。これらの資料をもとに今後の研究へつなげていく。吉原深和子はロシアの人形作家たちとの交流を深め、FANTANIMA2020の図録制作に協力した。 2020年1月に招へいした音楽家アレクセイ・クルグロフが日本で行った公演の音源がCD化されることになった。表紙のデザインは研究協力者のアレクサンドル・ベリャーエフによるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、サンクト・ペテルブルクのロック文化と非公式芸術に関する資料の収集・調査はもちろんのこと、この文化と芸術に関わった芸術家、音楽家、詩人などに現地で聞き取り調査をし、多角的なアプローチを行うことによって、20世紀後半から現代に至るサンクト・ペテルブルクの文化の多面的・複合的特質を明らかにすることにある。本来ならば、サンクト・ペテルブルクとモスウワで研究調査を行い、その調査報告を公開研究会で行う予定だったが、新型コロナ・ウィルス感染が拡大する中、現地調査は断念せざるをえなかった。対面での公開研究会は行わず、お互いにメールで連絡を取り合いながら、個別の研究を進めた。また、セルゲイ・クリョーヒンの遺作『無言の証人』の翻訳もほぼ終わり、クリョーヒンの未亡人アナスタシア・クリョーヒナを日本に招へいしての公演会・公開研究会を予定したが、これもコロナ禍のため延期した。なお、『無言の証人』は2021年秋に出版を予定している。 研究メンバーの岡島豊樹は長年にわたってソ連時代のジャズ・レコードを丹念に調査・研究してきたが、その成果として、『ソ連メロディヤ・ジャズ盤の宇宙』(カンパニー社)を編纂し、2021年4月に出版した。また、大井弘子の夫で、旧ソ連圏の人形劇の研究・紹介に尽力した故大井数雄氏の蔵書約4000冊が新潟大学環東アジア研究センターに寄贈されたので、書誌データの入力・整理を進めてきており、新潟大学付属図書館での登録も始まったところである。 当該研究に関わる資料(書籍、論文、音源、画像、映像)は順調に収集しており、上記の研究協力者の尽力により、研究に協力してくれる関係者がさらに増えたことで、研究の幅がさらに広がっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の核となる①「サンクト・ペテルブルクにおけるロック文化の進化と変容」研究グループ(岡島豊樹、中野圭、セルゲイ・レートフ、アレクセイ・ボリーソフ、アレクサンドル・ベリャーエフ)、②「サンクト・ペテルブルクにおける非公式芸術の誕生と発達」研究グループ(鈴木正美、ミハイル・スホーチン、リュドミーラ・ドミートリエヴァ)、③「人形劇と他ジャンルとの交流と協働」研究グループ(大井弘子、吉原深和子、ナターリヤ・コストローヴァ)という3つのテーマごとに研究グループをつくり、それぞれの領域で研究を行う。 令和3年度はこれまでの調査・研究をもとに、研究をより網羅的、包括的なものへと発展させる。新型コロナ・ウィルスの感染状況によるが、6月と12月には本研究プロジェクト参加者による研究報告会をzoomで開催する予定である。やはりウィルスの感染状況によるが、サンクト・ペテルブルクとモスクワでの現地調査を検討する。海外の研究協力者とは電子メールによる討議を重ね、現地踏査に関しても意見交換をし、調査におけるさまざまなコーディネートを依頼する。各研究グループは必要に応じて個別の研究打ち合わせを行い、令和3年12月にはクリョーヒン夫人のアナスタシア・クリョーヒナを招へいしての公開研究会を開催し、広く一般に研究成果を還元する。また、セルゲイ・クリョーヒン著『無言の証人』を令和3年秋に出版する。あわせて鈴木正美著『ロシア・ジャズ──寒い国の熱い音楽』の増補改訂版を出版する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ・ウィルスの感染拡大により、海外出張および海外の研究協力者の招へいが困難になったため、令和2年度科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(基盤研究(C))については、研究費に未使用額が生じました。そこで、補助事業期間延長承認申請をし、承認されました。下記のとおり次年度使用を申請するとともに、承認された際には、次のとおり研究を実施したいので、あわせて交付を申請します。なお、当該未使用額は補助事業を誠実に遂行した結果生じたものであり、令和3年度に使用することによって、より研究が進展することが見込まれます。また、交付された補助金は、補助条件に従い適正に使用します。 令和2年度未使用額(直接経費のみ) 893,334円 次年度使用希望額(直接経費のみ) 893,334円
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