研究課題/領域番号 |
18K00447
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
森野 聡子 静岡大学, 情報学部, 教授 (90213040)
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研究分担者 |
香戸 美智子 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (60748713)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 形質人類学 / John Beddoe / アイステズヴォッド / 人種論 |
研究実績の概要 |
研究代表者および研究分担者は、2019年7月22日から7月26日にかけて連合王国ウェールズのバンゴール大学で開催された第16回国際ケルト学会 (the XVI International Congress of Celtic Studies)に参加し、それぞれ研究成果を発表した。 研究代表者は研究発表 'Essays on the racial origin of Britain submitted to the Welsh National Eisteddfod in the 1860s' のなかで、1860年代のウェールズにおいてウェールズの近代化と文化及び産業振興を目的にナショナル・イベントとして制度化されたアイステズヴォッドが、イングランド人の人種的起源についての懸賞論文を公募した社会的背景、およびイングランドの形質人類学者John Beddoeが優勝したことの意義について論じ、1860年代において、イングランドの住民をウェールズ人と血統的につながった「ケルト人種との混血」と定義することがもつ政治的意味について分析した。 一方、研究分担者は、研究発表 'Modern scientific approaches to the populations of the Celtic regions' において、19世紀中葉から20世紀初頭にかけてのブリテン諸島の住民についての科学的言説の発展と変容について概観し、エスノロジー、形質人類学を経て、より細分化したアプローチによる人種論が生まれる経緯をたどるとともに、John Beddoeをはじめとするヴィクトリア朝イングランドの代表的な人類学者がケルト諸語地域の住民をどのように扱っているのかを分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際ケルト学会での成果発表は、本研究計画の前半の目標として設定していたものであり、計画通り遂行することができた。また、研究発表を通じて、研究代表者と分担者、それぞれが今後、推進していく研究の方向性が明確になった点でも、順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は、19世紀の人類学において、ブリテン諸島のケルト人を「黒い人種」と定義するに至った「イベリア起源説」の歴史的経緯を解明することを目標とする。また、それに関連して、ブリテンの先住民についての、当時の科学的言説を収集・分析する。研究分担者は、19世紀以降の科学的言説におけるケルト人の表象について、特に20世紀初頭に発展する血清学に焦点を当てて分析を行う。
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