研究課題/領域番号 |
18K00451
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
植 朗子 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (20611651)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 植物民俗学 / 神話・神話学 / グリム兄弟 / ハインリッヒ・マルツェル / 民間伝承 |
研究実績の概要 |
研究成果として、文学通信から『人はなぜ神話〈ミュトス〉を語るのか』(共著)が発行予定であり(編者・植朗子、清川祥恵、南郷晃子)、「近代植物学に生きつづける神話・伝承文学-20世紀ドイツの植物学者ハインリッヒ・マルツェルを中心に」という題目で論文を発表する。2022年5月5日現在、最終の校正が済んだ段階である。ここでは、本科研費の出発点にあたる「植物民俗学の萌芽とその後の展開」について、研究史を中心にまとめ、現代における植物民俗学が内包する問題点について再検討を促す内容とした。 その他には、新型コロナウィルスの影響により、予定していた海外調査はできなかったものの、国内で研究者との意見交換を行うため研究会に参加した。発表題目は、(1)「植物をめぐる神話的物語-治癒、再生、誕生という〈変化〉」(2021年12月19日神話学研究会、オンライン開催)、(2)「植物をめぐるドイツ語圏の神話的物語-「死者」と「転生」のモティーフ」(2022年3月9日、中央大学人文学研究所、※オンラインで参加)であった。 この2つの研究会の発表内容と意見交換会によって、「植物の神話・伝承」のモティーフの整理が進展したため、それらの分類にそって共著を2冊発表する予定である。筑波大学・木村武史氏を中心とする神話学研究会、中央大学・渡邉浩司氏を中心とする神話研究の会への積極的な参加が、書籍出版という成果に繋がっている。 この科研費の2年目のテーマである「樹木」、3年目のテーマである「花」の伝承について、『ドイツ伝説集』『グリム童話集』『ドイツ神話学』をベースに伝承分類研究を進めてきたので、新しい2冊の共著をもって発表できる段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
書籍や資料による研究は予定通りに順調に進んでいるが、海外調査で予定していた、植物の民間療法史・植物にまつわる医療・植物の調査が進んでいない。新型コロナウィルスの影響で渡航できなかったことが原因であるが、2022年度中に実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の9月に予定していた植物に関する海外調査を実施する。ヴュルツブルク大学附属植物園とライプツィッヒ大学附属植物園の予定であるが、新型コロナの状況を見ながら変更する可能性がある。海外調査と並行して行う予定であったハインリッヒ・マルツェルの植物事典のデータ分析が順調に進んでいるため、その内容を元に進めることができるものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により海外調査を実施できなかったため、2022年度にその調査を行い、これまでの研究成果をまとめる予定である。
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