研究実績の概要 |
研究課題に関する研究成果を日本西洋古典学会第71回大会で発表することになっていたが、コロナ禍で延期になった。同大会は今年2021年6月5-6日に開催されることが決定したので、「シリア・アラビア・アルメニアの伝承における『ゲオーポニカ』ーユニウスおよびアナトリオスの農書と『ゲオーポニカ』第2書との連関について」の題目で発表することになった。延期された1年間にこのテーマに関する研究を深めることができた。 研究課題に関わる資料調査・収集については、コロナ禍で国内外での出張ができなかったので、鹿児島大学中央図書館に依頼して、2文献を入手した。広島大学中央図書館より『Carl Brockelmann, « Die armenische Übersetzung der Geoponica », Byzantinische Zeitschrift 5, 1896, p. 385-409.』、京都産業大学図書館より『F. Habbi, « Testi geoponici classici in siriaco e in arabo », dans G. Fiaccadori (éd.), Autori classici in lingue del Vicino e Medio Oriente, Roma 1990, p. 77-92.』を入手した。 また、『ゲオーポニカ』とユニウスおよびアナトリオスの農書との比較研究を行った。両書の比較研究を通して、1.『ゲオーポニカ』第2書はその多くが(全49章中38章が)アナトリオスの農書からではなく、ユニウスの農書からの抜粋であるということ、2.『ユニウスの農書』のギリシア語原典を底本の一つとして6世紀にCassianus Bassusの『農業に関する選集』が編纂され、さらに『選集』を基に10世紀中葉に『ゲオーポニカ』が編纂されたことを明らかにした。
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