ダダなど20世紀のアヴァンギャルド文学運動は国民文学の枠を超える国際的な運動だった。国際化が進行し多言語的な環境で生まれ育つ作家が増える一方の21世紀の今日、ますます国民文学の限界が見えてきた。本研究は、海外の研究者らと連携しながら、戦後ドイツ文学の正史が看過してきた言語実験的なドイツ前衛詩の意義を50年代のウィーン派からTh・クリング、O・パスティオールを経て今日の詩人たちに至るまで歴史的に辿り、特にジェンダー論、アートとのインターフェース、多言語性(翻訳)、政治的挑発性と言語遊戯という四つの観点から戦後アヴァンギャルドの歴史的限界と後続世代による限界克服の可能性を検証しようと試みた。
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