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2022 年度 実績報告書

テクスト分析を用いた戦後ドイツ歴史論争の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K00468
研究機関山形大学

研究代表者

渡辺 将尚  山形大学, 人文社会科学部, 教授 (90332056)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードゴールドハーゲン論争 / ハンス・モムゼン / 再統一ドイツ / 仮想敵国 / 東欧ブロックの崩壊
研究実績の概要

本企画全体の目的は,西独および再統一ドイツにおいて繰り広げられた3つの歴史論争(フィッシャー論争・歴史家論争・ゴールドハーゲン論争)を分析することであった。令和3年度までの研究において,前者2つの論争についてはすでに分析を終え,成果を論文として公表しているため,最終年度は,残るゴールドハーゲン論争(1996年)に対する分析を終えることを目標として掲げた。ゴールドハーゲン論争は,反ユダヤ主義はナチズム下で突如として現れたものではなく,19世紀にまでさかのぼるとするゴールドハーゲンの主張に対して,数多くの歴史学者たちが反論を試みたものであるが,そうした歴史学者の中でも報告者が特に注目したのは,ハンス・モムゼンである。モムゼンは,第2次大戦が始まってもなお,反ユダヤ主義がドイツ全土に浸透していたとは言えず,ユダヤ人の大量虐殺は戦況の過酷さが引き起こしたものであると主張した。
この主張は,10年前の歴史家論争におけるモムゼンを知る者にとっては,驚愕すべきものである。なぜなら当該論争において彼は,いっさいの言い訳を許さず,ただひたすらナチズムの罪を反省することを説いていたからである。報告者は,この思想的転換とも言えるモムゼンの変化を,再統一(1990年)後の「仮想敵国の喪失」によって説明しようと試みた。すなわち,東西分裂時代は,「悪」である東独の存在そのものが,同時に自ら(=西独)の正統性/正当性を保証するものとなっていたが,東独が消滅して以降は,自国の過去に正統性/正当性を求めなければならなくなったのである。
なお,上記の成果を本年度の早い段階で得られたため,本年度後半は当初予定になかった1998年のヴァルザー・ブービス論争,2020年のリヒターをめぐる論争にまで分析の範囲を広げることができた。また,これまでのすべての成果を単著書籍としてまとめ,令和5年5月末に刊行する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 歴史論争から見た戦後ドイツ2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺将尚
    • 総ページ数
      210
    • 出版者
      共同文化社

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公開日: 2023-12-25  

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