研究課題/領域番号 |
18K00469
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鴻野 わか菜 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50359593)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロシア美術 / ロシア文学 / ロシア文化 / 現代美術 / 現代文学 |
研究実績の概要 |
(1) 20世紀初頭から現在にかけてのロシア文学・美術・映画・音楽における宇宙の主題について、ロシアの宇宙思想(コスミズム)や19世紀文学の影響等も踏まえて、研究を進めた。この主題に関して、ロシアの作家(アレクサンドル・ポノマリョフ、レオニート・チシコフ、ターニャ・バダニナ、ウラジーミル・ナセトキンら)とも共同討議を行い、研究成果を、共著、論文、国際シンポジウムでの報告等として発表し、公開レクチャー、展覧会を開催した。 論文「ロシア美術における宇宙ーー宇宙主義・不死・ユートピア『BT美術手帖』Vol.71,No.1078,10月号、他。 (2) 旧ソ連圏の美術・文学研究への新しい取り組みとして、アゼルバイジャン文部省の招聘でバクー・ビエンナーレを調査し、同ビエンナーレのシンポジウムで招待発表を行った。また、現地の研究者、アーティストと意見交換し、資料を収集した。バクー・ビエンナーレについても論考を発表した。 論考「Art Scene バクー シルクロード要衝の地の現代美術」 『BT美術手帖』Vol.72,No.1080,2月号、他。 (3) 20世紀初頭ロシア文学・美術・音楽の研究を継続し、20世紀の詩と歌曲についての成果の一部を論考「ロシア歌曲を読む(4) フョードル・チュッチェフ「噴水」 」 『日本アレンスキー協会会報』17号(日本アレンスキー協会、2019年)等で発表した。 (4)現代のロシア文学と美術の動向について研究し、その成果の一部を『文藝年鑑』等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1) 20世紀初頭から現代にかけてのロシア文化における宇宙という主題について研究を進め、その成果を論文、共著、シンポジウム、レクチャー、展覧会等、様々な形で発表する機会を得た。 (2) 研究対象である複数の現代アーティストが来日し、現代美術と文化の諸問題等について時間をかけて議論を深めることができた。 (3) アゼルバイジャンを訪問し、現地の研究者、アーティスト、並びにバクー・ビエンナーレに参加していたグルジア、ロシア、ハンガリー等のアーティストや研究者と共同討議を行い、研究テーマと研究のネットワークを広げる機会を得た。
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今後の研究の推進方策 |
(1) ソ連非公式芸術から現代にいたるロシア現代美術において、現代詩、現代文学との相関性に着目しながら、通史的な研究を進める。 (2) ロシア現代詩について、ドミートリー・クズミン、アンドレイ・セン=センコフらの作品を中心に研究と翻訳を進め、ロシア現代文化史における彼らの位置についても留意しつつ、個別研究を行う。 (3)新型肺炎流行の時代のロシア現代美術・文学・文化の動向について考察する。2020年5月に、ロシア現代美術界の11名にインタビューを行い、その成果を短い論考にまとめたが、今後もこの方面の研究も続けていきたいと考えている。 (4) ロシア現代美術・文学・映画等の紹介に関心のある地方自治体、団体等と協力し、ロシア・東欧現代美術・文学の日本での紹介(翻訳、講義、展示等)に 務め、研究成果の社会的還元を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型肺炎流行により2-3月の出張が取りやめとなったため。次年度の資料収集等に使用。
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