研究課題/領域番号 |
18K00470
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鳥山 祐介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40466694)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロシア文学 / 西洋史 / 文学論 |
研究実績の概要 |
本研究の二年目である2019年度には、手持ちの資料を読み込むことで基本的な論点の整理を続けると同時に、ロシアでの資料収集や関連論文の執筆、学会発表も行い、新たな視野の獲得に努めた。 本研究の主題である18世紀末から19世紀初頭のロシアの文芸作品におけるロシア表象の問題を扱うにあたり、2019年度は前年度と同様にロモノーソフ、スマローコフらの作品におけるロシア語やロシア史をめぐる問題について考察を進めるとともに、前者の頌詩に表れたロシア表象に考察を向けた。さらに今年度はデルジャーヴィン、ジュコーフスキーといったエカテリーナ二世からアレクサンドル一世期の文学者の作品にも考察の目を向けた。とりわけロシア帝国の威容を表現するにあたり用いられた詩的技法として、ロモノーソフ等において用いられた地名の列挙とデルジャーヴィン以降に盛んに用いられる民族名の列挙とを比較し、それぞれに見られるロシア表象の様式についての考察を行った。今年度の時点で得られた成果は、2019年12月に北海道大学スラヴ・ユーラシア研究センターにおいて行われた国際シンポジウムでの報告材料とした。 エカテリーナ二世期の文化状況全般についても引き続き考察を進めている。2020年2月には以前より進めていた研究成果が研究書Publishing in Tsarist Russia: History of Print Media from Enlightenment to Revolutionの中の一章として発表されたが、この内容には本研究との連続性が強く、ここで扱ったエカテリーナ二世の文芸政策に関しては2019年度にも情報収集を行った。 以上のように、2019年度には本研究を進める上で重要な作業を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度はCOVID-19の流行に伴い2020年3月に予定されていたサンクトペテルブルク出張を取りやめ、新たな資料収集の機会を逃したが、2019年9月には一度モスクワ出張を行っており、2019年度の研究成果に大きな影響は出ていない。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度にも当初ロシア出張が予定されていたが、COVID-19の流行に伴い、現時点では不透明な点も多い。当面は手持ちの資料とオンラインで参照可能な資料を駆使することにより研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月にはサンクトペテルブルク出張を予定していたが、COVID-19の流行に伴って2月末の段階で渡航をキャンセルしたため、多くの未使用額が生じることとなった。現時点では、2020年度以降に渡航が可能になった段階で新たに請求する助成金と合わせて出張費用として使用することを考えている。
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