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2020 年度 実施状況報告書

18世紀末―19世紀初頭のロシアの文芸作品における「ロシア」形象の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00470
研究機関東京大学

研究代表者

鳥山 祐介  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40466694)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードロシア文学 / 西洋史 / 文学論
研究実績の概要

2020年度は本研究の三年目であったが、COVID-19の流行に伴い研究計画に大きな変更が生じた。当初の研究実施計画ではロシアないしフィンランドで資料収集を行い、その資料の検討を通じて研究を新たな段階に進める予定であったが、上記の理由により計画に変更を余儀なくされたため、主として手持ちの資料やオンラインで収集可能な資料を用いて研究を行った。
本研究の主題である18世紀末から19世紀初頭にかけてのロシアの文芸作品に表れたロシアの形象の問題を扱うにあたり、2020年度は主としてロモノーソフ、デルジャーヴィンといった18世紀の文学者の作品に考察の目を向けた。それに加え、近代以降に「ロシア性」のイメージが正教信仰と密接な関係を結んでいくことに鑑みて、2020年度後半からはエカテリーナ二世期において、ピョートル改革以前のロシアで知的生活の中心であった教会およびそれに支えられた文化が、西欧化によって生まれた新しい文化とどのような関係を結んだのかという点にも注意を向け、先行研究の収集、整理を行った。伝統的な理解と異なり、18世紀においてロシアの教会文化は西欧文化と対置しただけでなくときに融合もしたことはデルジャーヴィンの著作からも明らかである。一方で当時の教会知識人の言説の検討は現時点ではまた行えていないが、それらを精査することは近代以降のロシア文化を考える上でも重要な材料を提供すると予想される。さらに「正教国家ロシア」のイメージをめぐる問題は、18世紀から19世紀初頭のロシアにおける歴史的記憶の問題を扱う上でも重要になると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度はCOVID-19の流行に伴い当初予定されていたロシア出張を取りやめ、新たな資料収集の機会を逃したことが、研究の進捗に影響を及ぼした。もっとも手持ちの資料とオンラインで参照な資料にそれなりに蓄積があるため、当初の予定より遅れてはいるものの、ある程度研究を進めることはできた。

今後の研究の推進方策

2021年度以降にも当初の予定ではロシア出張が予定されているが、COVID-19の流行に伴い、現時点では不透明な点も多い。当面は手持ちの資料とオンラインで参照可能な資料を
駆使することにより研究を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2020年度には資料収集のためロシアないしフィンランドへの出張を予定しており、また同年度8月には中東欧研究協議会(ICCEES)世界大会参加のためモントリオールへの出張を予定していたが、いずれもCOVID-19流行によりキャンセルとなったため、多くの未使用額が生じることとなった。現時点では、資料購入に充てることを中心に考えつつ、2021年度以降に渡航が可能になった段階で出張費用として使用する可能性も念頭に置きつつ計画を進めていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 「被造物を研究することはできない, 故に,創造主は理解し難い」 ―ロモノーソフの頌詩「神の偉大さについての夜の瞑想」とエンテュメーマによる作品主題の提示―2020

    • 著者名/発表者名
      鳥山祐介
    • 雑誌名

      SLAVISTIKA

      巻: 35 ページ: 297-309

    • DOI

      10.15083/00080021

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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