研究課題
基盤研究(C)
本研究は、文学・芸術制作における「共作」の実践という、学術的にいまだ十全に検討が進んでいない問題に注目し、オノレ・ド・バルザック(1799-1850)が関与した共同制作の問題を検討した。この調査により、バルザックが関わった共同制作における主要な要素(歴史的コンテクスト、共同制作チームのメンバー構成、制作様態、共同作業による創造性)を分析し、『人間喜劇』の作者における創作活動の未詳の側面を新たに解明することができた。
フランス文学
本研究は、世界文学における近代文学の代表的な作家の一人であるオノレ・ド・バルザックにおける共作の実践の諸相を解明しようと試みたものである。バルザックが具体的にいかなる共作者(あるいは各種の協力者)と連携し、どのような役割分担を行い、そのことが作品の発展にどのような影響をもたらしたかについて、論点整理、資料の解析、情報の総合を図った。これにより、バルザックの作家活動の知られざる側面を明らかにし、ひいては、近代作家の創造行為についての理解の深化に寄与することができた。