• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

再統一後のベルリンにおけるナチズムとホロコーストの記憶の空間表象

研究課題

研究課題/領域番号 18K00475
研究機関名古屋大学

研究代表者

安川 晴基  名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (60581139)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード記憶 / ドイツ / ベルリン / ナチズム / ホロコースト / モニュメント / ミュージアム / パブリックアート
研究実績の概要

本研究は、再統一後のドイツにおける「想起の文化」を対象にしている。「想起の文化」とは、ナチズムとホロコーストの負の過去をめぐる、昨今のドイツの政治的・社会的・文化的想起の営みの総称である。この営みは、冷戦終結とグローバル化の時代にあって、否定的想起を媒介として、再統一後のドイツの集合的アイデンティティを新たに規定し直す試みであり、その領域は、公的行事・記念碑やミュージアムの建設・学校教育・文化芸術活動など多岐にわたる。本研究はその中でも、モニュメント、ミュージアム、パブリックアートなどの想起の空間実践を調べ、公共空間において自国の負の過去にいかなる形が与えられ、社会的共有と次世代への継承がいかに図られているかを明らかにする。
2019年度の研究実績の概要は以下のとおりである。
(1)ドイツの事例と比較するため、日本国内(長崎市と水俣市)における、トラウマ的記憶を対象とした、同種の空間実践の実地踏査と資料収集を行なった。なお、年度末にベルリンとハンブルクでフィールドワークを予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大に伴う渡航自粛要請を受けて中止せざるをえなかった。
(2)このフィールドワークならびに資料収集と並行して、本プロジェクトの理論的支柱の一つをなす、アライダ・アスマンとヤン・アスマンの「文化的記憶」の コンセプトに関する研究を行なった。その一環として、ヤン・アスマン著『文化的記憶』(福村出版刊行予定)の翻訳作業を進めた。
(3)本研究の成果を単行本(『想起のトポグラフィー(仮題)』岩波書店刊行予定)として公表するため、執筆作業を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」に述べたとおり、2019年度は、長崎市と水俣市において、ミュージアム、記念資料館、メモリアルなどの空間実践の実地踏査を行い、比較参照のための有益な資料を収集することができた。
また、研究成果を公表するために目下執筆中の単行本『想起のトポグラフィー(仮題)』に関して、ドイツ歴史博物館(第1章)、ベルリン・ユダヤ博物館(第2章)、記録センター〈テロルのトポグラフィー〉(第3章)に関する箇所の執筆が進捗した。

今後の研究の推進方策

2020年度は、2019年度に予定していたものの、新型コロナウィルス感染拡大のため中止せざるをえなかったフィールドワークを行なう。調査を予定しているのは、ハンブルクの「ハールブルク反ファシズム警告碑」やザールブリュッケンの「反人種差別警告碑」などの一連の「カウンターモニュメント」である。
フィールドワークと並行して、研究成果を公表するために、これまでの調査結果を単行本の形にまとめていく。
さらに、「文化的記憶」に関する理論的研究の一環として目下継続中のヤン・アスマン著『文化的記憶』の翻訳作業を、刊行に向けて進めていく。

次年度使用額が生じた理由

2019年度に、ドイツにおける調査研究を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大に伴う、海外渡航自粛要請を受けて、2020年度に延期せざるをえなかった。
(使用計画) 2020年度はドイツでのフィールドワークを拡充する。ハンブルクやザールブリュッケンの「カウンターモニュメント」や、ベルリンのその他のナチズムとホロコーストに関連する「想起の空間」の実地踏査を行なう。その 旅費に前年度の残余分を充当する。

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi