研究課題/領域番号 |
18K00477
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中畑 寛之 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (70362754)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ステファヌ・マラルメ / 火曜会 / 文芸共同体 / 文学基金 / 19世紀末フランス |
研究成果の概要 |
ステファヌ・マラルメがイギリスで行った講演『音楽と文芸』および「文学基金」という提言に対する出版界の反応(特に『フィガロ』紙のアンケートなど)を翻訳した。これは、詳細な解説と新資料の読解も加えて、できるだけ早く公にしたい。 マラルメが見定めていた「文芸共同体」のあり方を相対化する形で、19世紀後半に風俗壊乱などで出版差止めや一部削除を命じられた作家たちがその再刊において採った戦略の事例を具体的に分析した。また、ボードレールの仕事の継承と展開、そして次世代への遺贈として、『悪の華』の詩人とマラルメの関係を問い直した結果、思いがけずデカルトの言霊を聴きとることになり、短いエッセイに仕上げた。
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自由記述の分野 |
ヨーロッパ文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
1890年代のマラルメ が繰り返し問うた「文芸共同体」の理念と実際を明らかにするにあたり、権力に抗して「書く自由」を求める同時代の作家たちの連帯や友愛の事例を具体的な分析し、またボードレールとの関係を継承・展開・遺贈という観点から問い直すことで、火曜会という集まりが見せる姿とはまた別の角度から「文芸共同体」のあり方を考えることができた。いくつかの未発表書簡を発見することができ、マラルメを中心に「精神の握手」が紡ぎ上げていたネットワークについて新しい知見を加えることができたと思う。当初の目標であった『音楽と文芸』の翻訳刊行が実現すれば、学術的にも社会的にも大きな成果となるにちがいない。
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