研究課題/領域番号 |
18K00481
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
阿尾 安泰 九州大学, 言語文化研究院, 特任研究者 (10202459)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 18世紀 / ルソー / 視覚 / タブロー / 表象 |
研究実績の概要 |
2019年5月25、26日に成城大学で開催された日本フランス語フランス文学会春季大会に参加して、研究者たちと第15回国際18世紀学会のための打ち合わせを行った。そして、国際学会の直前にパリにおいて国立図書館を中心に、発表のための資料の収集に励んだ。国際学会は、スコットランドのエジンバラ大学で7月14日から19日にかけて開催され、1600名以上の参加者があった。2名の研究者とともにセッションを7月18日の午前に企画し、発表を行い、出席した研究者たちと意見交換に努めた。 国際学会後は、発表での意見の整理とこれまでの研究成果のまとめ作業を始めていった。日本18世紀学会の依頼で、7月の国際学会で行ったセッションに関する報告を執筆し、9月の学会ニュース91号に掲載された。11月14日から17日にかけて東京出張をおこない。東京大学等において研究資料を収集した。また17日に明治大学で開催された、ピエール・フランツ教授を中心とする国際シンポジウム「フランス革命とスペクタクル」に参加し、研究者たちとの交流を深めた。 さらに、18世紀の文化表象論的な観点から新たなアプローチを試みた論文を掲載した共同論文集『フランケンシュタインの世紀』が11月20日に大阪教育図書より刊行された。また2020年1月に日本フランス語フランス文学会より学会冊子cahier24号のために国際18世紀学会に関する紹介文を依頼され、原稿を送付した。紀要論文として、国際学会の発表に関する意見等を考慮して、発表原稿に大幅な加筆をしたものが、2020年3月発行の九州大学言語文化研究院の『言文論究』44号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スコットランドのエジンバラ大学で2019年7月14日から19日にかけて開催された第15回国際18世紀学会におけるセッションが順調に終了し、数々の有益な指摘を得ることができたことが大きな理由である。 これまで日本そしてジュネーヴ、パリで進めてきた、国際学会のための文献、資料収集等の準備を有益に生かすことができた。国際18世紀学会終了後も、企画したセッションに関する文章、さらに国際18世紀学会自体の活動に関する記事を求められることがあり、これまでの経験を生かすとともに、成果を示すことができた。また発表会場で受けた指摘なども取り入れながら、準備した発表原稿をさらに大幅に展開して、それをもとにして紀要論文を完成できたことも大きな成果と言える。 日本フランス語フランス文学会秋季大会には出席できなかったが、明治大学で11月17日に開催されたピエール・フランツ教授を中心とする国際シンポジウムに参加することができた。革命期の演劇を巡る新たなアプローチに関して、フランス人研究者たちから有益な刺激を受けることができた。 さらにこれまで18世紀を中心に研究活動を行ってきたが、次第に18世紀と19世紀の関係を新たな観点から考察する必要性を痛感し、研究をこれまでとは異なる方向に発展させてきている。そうした中で、19世紀研究者とのつながりが生まれている。そうした協力関係の中で書かれた論文が、19世紀を中心とする共同論文集の中に掲載され、刊行された意義は少なくないと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、研究活動の最終年度にあたる。これまで成果を国際学会発表などで展開できたが、さらにその後追求してきた探求のまとめ作業を、収集した文献資料の整理とともに行っていく。残念ながら、コロナウィルスの影響で、日本フランス語フランス文学会春季大会は中止になってしまった。10月に開催予定の日本フランス語フランス文学会秋季大会に参加する。この大会において、前年に行った国際18世紀学会でのセッションをもとにして、ワークショップを企画して、他の研究者たちとの意見交換に努める。 これまでの活動成果を整理しながら、九州大学言語文化研究院の紀要『言文論究』に論文として発表する。2021年2月に東京において、東京大学、慶應義塾大学等で資料収集、文献探索を行う。同時に18世紀研究者たちとの交流に努める。2021年3月にこれまでの研究成果をまとめた報告書を作成する。
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