研究課題/領域番号 |
18K00485
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
Pekar Thomas 学習院大学, 文学部, 教授 (70337905)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アジア・ドイツ研究 / トランスカルチャー / 亡命文学 / 亡命 / 東アジア受容 / 文化接触 / 移民文学 / 移民 |
研究実績の概要 |
1) 本研究の目的の一つは、英語外の原典資料に対して表面的な分析に留まっていた米国のアジア・ドイツ研究AGSを、本来あるべき学問分野AGSとして確立することで、Joanne Miyang Cho女史 (William Paterson Uni., NJ)にアプローチし、緊密な議論を重ねた。それを通し、女史が出版するPalgrave Series in Asian German Studies に、上海で雑誌を刊行した亡命者A. J. Storferに関する論文を発表、さらに、女史、E.Kurlander (Stetson Uni.) 、D.T. McGetchin (Florida Atlantic Uni.)の共同研究に参画し、研究誌Shelter from the Stormにも拙著に関する論文を掲載予定である。これらの活動により、ドイツ語圏および英語圏が相互に研究成果を共有する学問分野AGSの確立に寄与することができたと考える。 2) トランスカルチャー研究に関しては、2021/10/30-31に研究会Robert Musil - Transkulturelle Lekturen. Internationales Kolloquium zur Musil-Rezeption im asiatisch-pazifischen Raumをソウル大学と学習院大学で、ドイツ学術交流会、墺大使館の支援を受けハイブリッド開催した。日韓中独墺米豪から16名の口頭発表があり書籍として出版される予定である。 3) 移民研究に関しては、亡命文学によって、今日、重大となっている移民の体験や移民文学を考察するための道を見出すことができるという点について、イタリアのパレルモで7月末に開催された国際ゲルマニスト学会にてオンライン発表を行った
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
引き続き、AGS、トランスカルチャー研究、亡命研究という3つの重点を結びつけて研究することの重要性が明らかにされた。トランスカルチャー文学の概念に関しては、20世紀における二人の重要な作家ロベルト・ムージル、トーマス・マンに重点を置いて分析を進めた。今後もAGS、トランスカルチャー研究、亡命研究の結びつきを理論的に基礎付けることが中心的な研究課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
AGSに関しては、項目5の1)に記した通り、米国の研究者と共同でアジアへの亡命研究を行い、論文を発表する。またトランスカルチャー研究に関しては、項目5の2)で記した研究会での16名の口頭発表を書籍として出版する準備を進める。ロベルト・ムージルの日本受容とトランスカルチャー的読解に関連して、さらに、東京にて引き続き研究会を開催する。さらに、国際学会等においてもムージル、トーマス・マンの作品をトランスカルチャー的観点から分析し、口頭発表ならびに論文執筆を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費の多くは海外渡航費、研究者招聘費用であったがコロナ禍で国をまたぐ人の移動が困難であったため。今年は、海外での学会発表並びに文献調査活動と昨年の成果物の刊行を予定
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