研究課題/領域番号 |
18K00492
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
田丸 理砂 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (40386925)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 亡命研究 / ドイツ文学 / フェミニズム文学研究 / ガブリエレ・テルギット / ヴァリアン・フライ |
研究実績の概要 |
2019年度は主としてGabriele Tergitを取り上げ、なかでも亡命を扱ったテルギットの未刊行作品 “Der Engel aus New York”についての資料収集および分析、独語、日本語による論考の執筆に取り組んだ。 2019年8月には渡欧し、ドイツ、マールバッハのドイツ文学アーカイブとフランクフルトのドイツ国立図書館で本作品のタイプ原稿、テルギットの書簡等を閲覧、収集を行った。またベルリンでは現在のドイツにおける亡命研究およびその出版状況を調査した。 ドイツで収集した資料をもとに、9月以降は資料の分析を進め、参考資料を読み込み、独語による論考Kampf einer Literatin fuer den "anonymen Heroismus". Zu Gabriele Tergits "Der Engel aus New York"を執筆した。本論はネイティブスピーカーによる校閲を経て、テルギットに関する論文集に収録され、今秋ドイツで刊行予定(Text&Kritik社)である。 また独語の論考には紙幅に制限があり言及できなかった部分と、日本ではあまり知られていないテルギットという作家についての情報全般を補って、日本語で「友情から生まれた本――ガブリエレ・テルギット『ニューヨークから来た天使』について」を執筆し、勤務先の紀要「国際交流研究」第22号に発表した。 なお当初は3月に次の研究課題であるMaria Leitnerの資料閲覧(フランクフルト国立図書館所蔵)のために渡欧する準備を進めていたが、新型コロナウィルス感染症の流行のため、出張を取り止めることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記「研究実績の概要」で述べたように、2019年度目標としていたガブリエレ・テルギットに関する論考を執筆することはできたが、2020年3月の出張の取りやめによって、2020年に集中的に取り組む予定の作家、マリア・ライトナーについての資料収集が実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は上記の通り、マリア・ライトナーを中心に研究を進めていく予定だが、その進捗はドイツに渡航の可否に大いに係わる。 現在の状況ではまだ今後については予測不可能なため、インターネットを使った資料収集を行うととともに、現有資料を利用し、可能な範囲での研究を進め、本年度中にドイツへの渡航が可能になった際に備える。 夏期休暇を利用してドイツで資料収集を行える場合には、その資料を利用した研究成果を勤務先の紀要等に発表することを考えている。 また夏期休暇に渡航が叶わず、2021年春になってドイツに出張が可能になった場合には、先のインターネットや現有資料を利用した論考を勤務先での紀要等に発表したい。なおこの場合でもライトナーについての研究は日本ではほとんどなされていないので、ライトナーの作品を紹介することで日本の独文学研究にある程度の貢献はできると考える。そして春の調査結果は次年度に何らかの形で示したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月15日から約10日間の予定でドイツでの資料収集を計画していたが、新型コロナウィルス感染症の世界的流行により、出張を取り止めることになった。 なお2020年度中に前年度予定していたドイツでの資料収集を行う予定である。
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