研究課題/領域番号 |
18K00500
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
鵜飼 哲 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (90213404)
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研究分担者 |
F Bizet 東京大学, 教養学部, 准教授 (70383495)
呉 世宗 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (90588237)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 文学 / 動物 / 政治 / 宗教 / 哲学 / 環境 |
研究実績の概要 |
2021年度の課題は研究報告書の作成であったが、コロナ禍のため出版社との交渉に遅れが生じ年度末までの出版は実現できなかった。この件につき、2022年度への再延長の申請を行い認められた。一橋大学と出版社(勁草書房)のあいだの契約は2021年12月1日付で締結され、報告原稿は年度内にすべて提出された。以下報告書の概要を記す。イントロダクション 「動物の問いと文学の問い」(鵜飼哲)で本共同研究の基本的方向性が示される。第1部「動物のまなざしのものにおける文学」は、村上克尚「動物から世界へー 津島佑子「真昼へ」におけるアイヌの自然観との共鳴」、中井亜佐子「小説という箱舟のなかで - 『ロビンソン・クルーソー』と『フォー』における動物たち」、呉世宗「はざまからまなざす- 金石範「鴉の死」における主体・状況・言葉そして動物」の3論文で構成される。第2部「動物たちと文化の境界を通過する」は、カトリーヌ・パンゲ「イスタンブルの野良犬たちー都市での人間/動物共生の物語」、フランソワ・ビゼ「<動物-寓話>の生成変化」の2論文で構成される。第3部「軍事的暴力と動物たち」は、申知瑛「比較から近接地帯へー 専有された労働と非/人間動物の逃亡」、シム・アジョン「性-種-資本-軍事主義の共謀と動物の場所ークィア的観点から奪還可能な未来を問う」、新城郁夫「媒介される身体たちー 沖縄文学のなかの蟹をめぐって」、鵜飼哲「アジア的身体」と動物たちー 種と文化の境界に「隠された伝統」を探る」の4論文で構成される。第4部「鳥として住う」はヴァンシアーヌ・デプレ「わたしたちのナラティブをテリトリーから放つ、鳥たちとともに」と「ヴァンシアーヌ・デプレとの対話」(聞き手・フランソワ・ビゼ)で構成される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度中にすべての研究セミナーは終了したが、最終セミナーは2021年2月6日に行われたため年度末までに報告書の作成を行うことは不可能だった。そのため延長申請を行い認められた。2021年度は報告書の作成に集中的に取り組んだが、コロナ禍のため出版社との契約に遅れが生じ、結果的に契約書締結が12月となり、年度内には報告原稿の提出、取りまとめまでしか作業が進まなかった。そのため再延長の申請を行い認められた。単行本として出版予定の研究報告書は現在校正の最終段階にあり、予定通り2022年6月末までの出版が見込まれている。
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今後の研究の推進方策 |
研究報告書は勁草書房より2022年度6月末までに刊行予定である。各論文の内容は本共同研究の4回のセミナーの報告をもとに各著者が加筆・修正したものであり、研究代表者によるコメントと意見交換を通して認識の共有を図ることができた。現在はすべての論文の初校の校正が完了した段階であり、出版までのスケジュールは順調に進んでいる。成果の公表が予定通り行われることは確実である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により研究報告書の出版計画につき編集者と対面で内容をつめ合意に至るプロセスが妨げられ、2021年12月1日に至ってようやく出版契約書が出版社と研究代表者、所属機関の長のあいだで締結された。原稿執筆の依頼、集約がそれ以降となったため、2021年度内の報告書の出版が不可能になったことが、次年度使用が生じた理由である。2022年度の予算残額は581,450円、うち500,000円は出版経費、残りは予備費となる。
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