1)Pelliot書誌情報ファイル及びStein書誌情報ファイルの整理を継続的に行うとともに、敦煌漢文文献の加点内容を視覚的に把握できるようなテキストモデルとして、Stein本・春秋経伝集解(S.85)の記述研究を学会誌に、Stein本・尚書8点(S.799、801、2074、5626、5745、6017、6259、8464)、Pelliot本・尚書2点(P.2516、3670)についての書誌記述ファイルと加点情報付テキストを所属機関紀要に発表した。 2)漢字文化圏における漢文文献読解の基層構造を具体的に解明するために、2-1)これまでに調査したStein本74点、Pelliot本146点の合計220点を対象に、日本の漢籍訓点資料とも比較しながら具体的に論じた「敦煌本漢籍における加点の問題について」を学会誌に、2-2)日本現存の漢籍訓点資料のうち、漢書楊雄伝(京都国立博物館蔵)、髙山寺本論語集解(清原本2点、中原本2点)について精密調査に基づく解題を書籍に、2-3)一次資料に基づかない研究方法と研究成果利用の問題について論じた「訓点の信憑性」を学会誌に、2-4)漢文本文と加点との関係の全体像を把握するために書写者(テキスト作成)、読者(注釈活動・加点)、所蔵者(伝承過程)という人の関わりに基づく「階層構造から見た唐鈔本漢書楊雄伝の研究課題」を学会誌に、2-5)本研究を若手研究者が継承できるように訓点研究の入門を書籍に発表した。 3)敦煌漢文文献の加点現象として重要な破音について原理的な考察を行った「漢字文化圏における漢文文献への破音加点の意義」、ベトナムの漢籍加点本にも目を向ける必要性を論じた「ベトナム阮朝時代に論語はどのように学習されたのか」、漢文文献の読解と加点現象を国際的に共有するために「漢字文化圏諸言語による漢文文献の読解と加点(改訂版)」を海外の国際学会で発表した。
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