• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

詩人・思想家ムハンマド・イクバールの初期詩作品に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00504
研究機関大阪大学

研究代表者

松村 耕光  大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (60157352)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードイクバール / ウルドゥー詩
研究実績の概要

2019年度においては、南アジアの重要なイスラーム思想家の一人であり、優れたウルドゥー語・ペルシア語詩人でもあったムハンマド・イクバール(Muhammad Iqbal 1877-1938)の、インド・ナショナリズムの影響下にあったとされる、1905年のヨーロッパ留学以前の文学的・思想的特質を検討するために、2018年度同様、以下のような作業を行った。
(1)イクバールの詩集に収録されていない詩作品の収集・読解。(2)イクバールの初期詩作品に関する研究文献の収集・研究。(3)イクバールの初期詩作品の主要な発表場所であった、ラホールのウルドゥー語雑誌『宝庫(Makhzan)』の調査・研究。(4)19世紀後半から20世紀初頭にかけてのウルドゥー語文化圏の文学・思想潮流に関する研究文献の収集・研究。(5)イクバールの、ヨーロッパ留学以降に発表された詩作品の研究。
各作業の実績は、以下の通りである。
(1)詩集に収録されていない詩作品の収集は、2018年度においてほぼ完了しているので、2019年度においては読解作業を集中的に行った。(2)イクバール初期詩に関する研究文献の収集作業も、重要なものはほぼ収集を完了していると思われるので、収集した文献の検討を行った。(3)雑誌『宝庫』の調査・研究に努めたが、未だ初期のバックナンバーを全て確認するには至っていない。(4)ラホールを中心とする文学・思想興隆――ラホール・ルネッサンス――に関する資料調査やラホールの文学・思想界に大きな文化的影響を与えたと考えられるデリー・ルネッサンスに関する文献の調査・研究を行った。(5)イクバールの初期文学・思想と比較するため、ヨーロッパ留学以後に発表されたイクバールのガザル(ghazal 定型抒情詩)を検討するとともに、重要なものを翻訳し、発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

イクバールの初期詩作品の読解作業は予定通り進んでいるが、雑誌『宝庫』の初期バックナンバーで未確認のものがまだあり、当時のラホールにおける詩の潮流との関係を明確に跡付けることができないでいる。パキスタン、インドの図書館に出張してバックナンバーを調査する予定であったが、政治情勢の悪化や新型コロナウイルス蔓延により、出張を断念せざるを得なかった。また、初期イクバールに思想的影響を及ぼしたと思われるイギリス人東洋学者トーマス・アーノルド(Thomas Arnold 1864-1930)が残した文書類を調査するため、イギリスの図書館に出張する予定であったが、これも中止せざるを得なかった。

今後の研究の推進方策

今後は以下のような作業を行う予定である。
(1)イクバールの公刊詩集に収録されていない詩作品の研究を続行し、重要な作品の翻訳を行う。(2)イクバール初期詩作品の主要な発表場所であった雑誌『宝庫』の未確認バックナンバーを調査し、詩集のテキストと雑誌『宝庫』掲載時のテキストとの校合を行うとともに、雑誌『宝庫』に掲載された、イクバール以外の詩人たちのウルドゥー詩の文学的・思想的傾向を検討する。(3)初期イクバールの活動舞台であったラホールの文学的・思想的状況の検討をさらに進める。(4)ラホールの文学・思想界に大きな影響を与えたアリーガル運動やデリー・ルネッサンスに関する研究資料の入手に努める。(5)雑誌『宝庫』の編集者アブドゥル・カーディル(Abdul Qadir 1874-1950)や東洋学者トーマス・アーノルドなど、初期イクバールに影響を与えたと考えられる人物に関する資料を収集・研究する。

次年度使用額が生じた理由

イクバールの初期詩作品の主要な発表場所であり、当時の文学・思想潮流を知る重要な資料であるウルドゥー語雑誌『宝庫』の初期バックナンバーで未確認のものがまだあり、パキスタン、インドの図書館に出張してバックナンバーを調査する予定であったが、政治情勢の悪化や新型コロナウイルス蔓延により、出張を断念せざるを得なかった。また、初期イクバールに思想的影響を及ぼしたと思われるイギリス人東洋学者トーマス・アーノルドが残した文書類を調査するため、イギリスの図書館に出張する予定であったが、これも新型コロナウイルス蔓延により中止せざるを得なかった。出張可能な状況になれば出張し、調査・研究を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] ガザル(3)―イクバールのウルドゥー詩(13)―2020

    • 著者名/発表者名
      松村耕光
    • 雑誌名

      イスラーム世界研究

      巻: 13 ページ: 211-220

    • DOI

      10.14989/250335

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi