台湾では、公用語とされている中国語のほか、方言や日本語などさまざまな言語が日常生活の中で使用されている。文学の世界においてもそれが反映され、多元性が展開されていると思われているが、しかし戦後から続いてきた単一言語主義の状況は、いとも簡単に打開できるものではない。中国語以外の言語作品は、書き手も読み手も限られている中、どのような形で模索されようとしているのか。また、使用言語を問わず、多文化が交差するその様相がどのように表現されているのか。本研究は台湾文学への学術的関心が高まっている動きの内側で、その大きな特色として打ち出されている多言語・多文化共生の可能性と限界を明らかにした。
|