本研究では『古今小説』「鬧陰司司馬貌断獄」の影響を受けた『夢決楚漢訟』と、中村庄次郎が訳した『今古奇観』の両作品の文学的特質について研究した。 『夢決楚漢訟』は「恨みを晴らすための転生」という判決の方針が徹底的に守られており、それに加えて作者の歴史認識や韓信・劉邦・項羽などの人物についての評価を伺うことが出来た。『今古奇観』の研究では、これまで未詳だった「八銀人」の典拠を明らかにした。そして、原話の内容にそのまま忠実に従ったのではなく、朝鮮語として不自然な人物名は自然な人物名に変えたり、原話の矛盾するところを改変するなど、積極的に原話を活用していることを指摘した。
|