2000年に大気科学者のパウル・クルツェンが現代を完新世ではなく「人新世」(the Anthropocene)であると主張して以来、「人新世」という言葉は科学のみならず人文学の各分野に影響を及ぼした。文学研究の分野も例外ではなく、2010年代に入ると英語圏を中心に「人新世」を冠した文学論や研究論文が続々と出版されるようになった。本研究はこの「人新世」の概念が過去20年余りの間に文学研究においてどのような議論を生んできたかをテーマ毎に整理・分析し、これからの文学研究が進む方向性を示すことを試みた。
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