研究実績の概要 |
科研費最終年度には、研究の目的及び研究実施計画の全てを実行できたわけではない。とりわけ、西インド諸島大学図書館およびワシントンDCの国立公文書館での資料調査は、COVID-19のため、実施を諦めざるをえなかった。しかし、本研究課題及び、本研究課題に密接に関連する全研究課題をめぐる成果は、以下の通りである。1)『持たざる者たちの文学史 帝国と群衆の近代』(月曜社、2021年)として、博士論文を日本語にした上で、大幅に加筆及び修正を施し、本研究課題の内容に寄せる形で出版した。2)査読つき英語論文として”Blueprint for interracial solidarity: C. L. R. James’s Mariners, Renegades, and Castaways as prison writing”をThe Journal of Commonwealth Literatureに投稿し、掲載された。3)本研究課題に密接に関連する翻訳書として、スチュアート・ホール&ビル・シュワルツ『親密なるよそ者 : スチュアート・ホール回想録』(人文書院、2021年)を出版した。4)2022年10月、「東アジアと同時代日本語文学」学会において、パネル発表を行なった。5)招待論文及び論考として「非同盟運動の手前で――ハ・ジン『戦争の屑』における朝鮮戦争と第三世界主義の萌芽」(プライム:明治学院大学国際平和研究所紀要、45号)及び、「軍事帝国的な統治と恥:トニ・モリスン『ホーム』における朝鮮戦争と黒人兵」(『福音と世界』2022年2月号)を出版した。これらはいずれも、本研究課題の一つの重要な核となる論考である。
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