本研究は、生成統語論で従来仮定されてきた経済性条件のうち、最大削除条件を取り上げ、その効果が通言語的に観察されるかどうか、及びその効果を他のより一般的な仮説から演繹できるかどうかを考察した。中国語の削除現象を詳細に検討した結果、同一の構造に疑問節縮約(スルーシング)と項削除の両方が適用可能な場合、項削除の適用が阻止されること、及び同一の構造に動詞句削除と項削除が適用可能な場合、やはり項削除の適用が阻止されることを観察した。これまで主たる考察対象とされてきた英語とは異なる中国語でも当該効果が観察されたことにより、その普遍性が示された。
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