研究課題/領域番号 |
18K00529
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
入江 浩司 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40313621)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アイスランド語 / 非人称構文 / 非人称受動構文 |
研究実績の概要 |
昨年度から引き続き、現代アイスランド語の非人称構文のうち、いわゆる受動進行形〈vera verid ad 不定法〉の研究を中心に行なった。アイスランドの The Arni Magnusson Institute for Icelandic Studies がウェブ上で公開しているコーパス (The Icelandic Gigaword Corpus) を利用し、「出版された書籍」の分類に限定して検索をかけてヒットした用例を主として分析の対象とした。受動進行形で使われる動詞(不定法の部分に現れるもの)の種類としては、対格目的語をとる他動詞が最も多く、次いで前置詞を介して目的語をとる動詞と、動作性をもつ自動詞が同程度表れ、その次に与格目的語をとる動詞が見られるという結果だった。通常の能動進行形と同様に、現在時制では継続中の動作・事態、あるいは直近の未来のことを表す用法が見られ、また過去時制では継続中の動作・事態、あるいは直近の過去のことを表す用法が見られた。昨年度、自身が収集している新聞記事のコーパスを対象とした分析の結果では受動進行形の現在時制と過去時制の出現頻度に大きな差があったが(9:1程度)、上述のコーパスの調査では現在時制と過去時制の出現件数にそれほどの差がなく(5:4程度)、テキストの種類によって時制の分布に差があることが判明し、受動進行形の意味機能との関係を明らかにすることが今後の課題の一つとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
所属機関で年度初めから新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンライン授業に切り替わり、そのための準備と種々の業務に追われ、研究時間がほとんど確保できなくなり、また、予定していた現地調査に出ることもできなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
新年度も現地調査を行なうことが困難な場合、母語話者に対する調査はオンライン形式で行ない、文献やコーパスを利用した調査の比重を高める。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外における現地調査のための旅費として計上していた予算が執行できなかったため。次年度は、もし現地調査が可能になれば、そのための旅費として執行する予定であるが、現地調査ができない場合には、代替の調査方法としての文献調査を行なうための図書購入等に使用する物品費として執行する予定である。
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