研究課題/領域番号 |
18K00535
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田野村 忠温 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40207204)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 近代日中語彙交流 / 日中初期外国語学習史 / 歴史的資料アーカイブ |
研究実績の概要 |
近年利用可能になった各種の歴史的資料の電子アーカイブおよび最近影印出版されて利用可能になった歴史的資料を用いていくつかの研究に取り組んだ。 近代日中語彙交流の分野では、中国語における西洋由来の飲食物3種(コーヒー、カレー、ビール)の名称の歴史、および、コーヒーの名称の漢字表記に関わる日中両語の影響関係を考察し、その結果を論文4件の形で発表した(それぞれ『或問』第37号、『或問』第38号、『内田慶市教授退職記念論文集 文化交渉と言語接触』、『阪大日本語研究』33に所載)。また、日中両語で使われる「化石」の語の歴史についても考察を行った。これは次年度に論文として発表する(『国語語彙史の研究 四十』に掲載予定)。 中国の初期外国語学習史の分野では、17世紀中葉に編まれた中国初の英語語彙集である『英吉利国訳語』の編纂者と編纂過程に関する考察を完成させ、論文として発表した(『大阪大学大学院文学研究科紀要』第61巻に所載)。加えて、『英吉利国訳語』と同時期に編まれた北京故宮博物院蔵『華夷訳語』丁種本写本に含まれる欧州5言語(ラテン語、ドイツ語、ポルトガル語、フランス語、イタリア語)の語彙集について注音法その他に関する考察を行い、論文として発表した(『待兼山論叢』第54号文化動態論篇に所載)。 その他、日本語の動詞-名詞型漢語複合名詞の構成および意味の複雑なあり方を考察し、中国語にない日本語の複合名詞の特性に関する分析の結果を論文の形で発表した(『現代日本語研究』第12号に所載)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の見通しよりもはるかに多くの考察を行い、その結果をすべて論文化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究を発展させるとともに、新しい課題の可能性を模索するという方法によって研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行のために、複数の国際会議への参加および外国での資料調査、収集の計画をすべて中止せざるを得なかった。次年度においては社会の状況をも踏まえて計画を適宜調整して研究を実施する。
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