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2018 年度 実施状況報告書

沖縄語の生成文法研究:格と形態をめぐって

研究課題

研究課題/領域番号 18K00539
研究機関琉球大学

研究代表者

吉本 靖  琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (70284940)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード沖縄語 / 生成文法 / 格 / 依存格付与
研究実績の概要

今年度の目標である沖縄語の格現象に関する生成文法研究のために、現行の生成文法における格理論の最新の動向について、まず文献研究(Baker 2015、岸本2016、Malchukov and Spencer 2009など)を行なった。現行の生成文法理論では、格はChomsky (2000, 2001)の提唱する「一致」(Agree)が成立する時に、機能範疇Fにより名詞句に与えられるとする考え方が広く行き渡っているが、Baker (2015)は、「一致に基づく格付与」理論の必要性は認めつつもMarantz (1991)が提唱した「依存格付与」理論も必要であるとし、格に関する通言語的な分析を展開している。BakerはMarantzの理論をさらに洗練されたものにしており、その枠組みで沖縄語の格体系の研究を行なった。
理論的研究のもとになるデータは、沖縄語の記述的研究の文献及びフィールドワークから得た。文献として参照したのはMiyara (2015)、Shimoji (2012)、内間 (2011)、船津 (2010)、野原 (1986)などである。フィールドワークでは沖縄市在住のコンサルタントから聞き取り調査を行なった。
Dixon (1994)やKonig(2009)の類型論的分類に従って沖縄語を見た場合、標準日本語と異なり沖縄語では目的語に形態格が標示されないため、少なくとも表面的には沖縄語は「有標主格言語」(marked nominative language)であると考えられる。これまでのところ、Baker流の依存格付与理論で沖縄語の基本的な格体系の説明は可能であることが示唆されている。ただし、一致による格付与理論が全く必要ないという結論を出すまでには至ってないため、更なる分析が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

沖縄語の文献に見られる格に関する例文には、文法性判断が異なるものも見られ、分析するデータの信頼性の確保に時間を要した。また、一致による格付与理論と依存格付与理論との比較のためには更なる調査と分析が必要であることも判明したため、計画よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

分析データの信頼性に関しては、先行研究を参照しつつも最終的には信頼できるコンサルタントの個人語に限定してデータを集めることで、一貫性のある分析を行うという方策を今後も踏襲する予定である。また、理論的分析を推進するために、これまで以上の時間を分析のために確実にあてがう方策をとる。今年度は昨年度の研究成果を発表する年であり、また、パラメータの観点から見た日本語と沖縄語の格比較についての研究を推進する年でもある。この2点を予定どおり進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

物品費の支出が予定より少なかった。次年度使用額分は沖縄語の記述研究の文献、あるいは理論的分析に必要となる生成文法関係の文献の購入に充てることを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 肯定極性を持たない肯定極性表現―日本語の「whか」の分析―2019

    • 著者名/発表者名
      吉本 靖
    • 学会等名
      ワークショップ:極性表現の構造・意味・機能

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公開日: 2019-12-27  

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