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2022 年度 実施状況報告書

沖縄語の生成文法研究:格と形態をめぐって

研究課題

研究課題/領域番号 18K00539
研究機関琉球大学

研究代表者

吉本 靖  琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (70284940)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード沖縄語 / 形態統語構造 / 分散形態論
研究実績の概要

沖縄語の述語の活用に関して、次の2点についての研究を行った。
(1)沖縄語のPred主要部に関する日本語との比較研究
(2)沖縄語の連用形に現れる -i に関する日本語の連用形との比較研究
以下、それぞれの研究実績の概要を述べる。
まず、(1)に関して、Nishiyama (1999)は日本語のコピュラには2種類あり、一つは述語コピュラ、もう一つはダミーコピュラであるとしている。例えば「静かである」という述語においては、「で」が述語コピュラ、「あ(る)」がダミーコピュラである。それに対応する沖縄語は「シジカヤン」で、日本語の「あ(る)」に相当する「ヤ(ン)」はあるが、述語コピュラに相当する形態素は出てこない。同様にNishiyamaが述語コピュラの一形式としている「に」(例えば「先生になった」の「に」)が、沖縄語では表出しない(「先生になった」は沖縄語では「シンシー ナタン」である)。これらの例から沖縄語では述語コピュラは音形を持たないゼロ形態であるという分析が可能になる。ところが、Nishiyamaがもう一つの述語コピュラと認定している、形容詞につく-ku に該当する形態素は沖縄語にもあるのだが、形容詞の活用形の一部でしか表出しないという違いがある。この違いが何によるものなのかについては更なる分析が必要である。
(2)の連用形に現れる -i については、Nishiyama (2016)は日本語の連用形の -i は音韻的に挿入される場合と、統語的に必要とされる不定詞のT(英語の to に相当)である場合があると主張している。沖縄語においても、後者の不定詞のTの機能を持つ -i が存在する(例:nach-i-busan「泣きたい」)。一方、音韻的に挿入されていると考えられる -i は今のところ見つかっていない。この点についても分析を継続していく必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

コロナ禍の中、コンサルタントからの聞き取り調査がなかなかできず、文献に頼った研究しかできなかった。

今後の研究の推進方策

ようやくコロナ禍も落ち着いてきたので、コンサルタントとの調査を必要なだけ行い、特に遅れをとっている沖縄語の格に関する研究を推進し、研究成果をまとめていく。特に日本語の格配列との比較に重点を置き、原理とパラメータのアプローチによる分析を深めていく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で文献研究が主になったため、研究成果を発表できるまで研究を進めることができなかった。そのため学会発表の旅費の支出がなくなり、次年度にそれを繰り越した。次年度はコロナ禍が落ち着きを見せているので、コンサルタントとの調査を精力的に行い、研究成果をまとめて対面での学会発表を行うために旅費を使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 図書 (1件)

  • [図書] Polarity-Sensitive Expressions: Comparisons between Japanese and Other Languages2023

    • 著者名/発表者名
      Hideki Kishimoto, Osamu Sawada, Ikumi Imani (eds), Yasushi Yoshimoto, et al.
    • 総ページ数
      443
    • 出版者
      De Gruyter Mouton

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公開日: 2023-12-25  

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