研究課題/領域番号 |
18K00541
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小熊 猛 金沢大学, 外国語教育系, 教授 (60311015)
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研究分担者 |
金 智賢 宮崎大学, 多言語多文化教育研究センター, 准教授 (40612388)
井筒 勝信 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70322865)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 指示詞 / 人称指向 / 距離指向 / ダイクシス / 発話事象概念 |
研究実績の概要 |
日本語、韓国語、英語の指示詞を対照するとき、近称・中称・遠称から構成される三項体系の類似性に注目し、日本語と韓国語vs.英語として括る見方がある。しかし、韓国語の中称指示詞は専ら聴者領域しか指示できず、近称は話者領域、中称は聴者領域、遠称は話者および聴者以外の領域を指示することが指摘されている。韓国語指示詞は徹底して人称に基盤をおく人称指向の体系なのであり、この点で話者からの遠近に基づいて捉えられる日本語および英語の距離指向の指示詞体系とは一線を画す。日本語の中称指示詞「そ」は人称指向と距離指向の空間ダイクシスの範疇化を併せ持つと議論される向きもあるが、英語と同様に基本的には距離指向の体系である捉えることが可能であり、この考え方によれば日本語と英語vs.韓国語と括られるという考え方を示した。 独白文脈における発話者指示のダイクシス(人称代名詞)に目を向けると、発話者が自らを〈鼓舞〉ないしは〈叱責〉する場面で、二人称(対称詞)による発話者自称指示が英語および韓国語で広く容認される一方で、日本語では一般に不自然となり容認されない、この点では英語と韓国語vs.日本語と類型論的括りが見られることを指摘した。 上記の日本語、韓国語、英語のダイクシスの異なる括りの現れは、「話者と聴者が並び立つ(side-by-side)」構図、あるいは「話者と聴者が向かい合う」(face-to-face)」構図のいずれを発話事象概念化の基盤とするのかという概念化様式に還元することを試み、日本語および英語が前者の、韓国語が後者の概念化様式を基本としているとする提案を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のため、予定していた国際学会での研究発表が実施できない状況が続いたため。
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今後の研究の推進方策 |
国内の学会および研究雑誌等においても研究成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため予定していた国際学会が開催延期となる、オンラインに切り替わるなどしたため。国内外学会での研究成果発表にかかる旅費として使用予定。
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