研究課題/領域番号 |
18K00544
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
井川 美代子 (安井美代子) 獨協大学, 外国語学部, 教授 (90212729)
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研究分担者 |
浅山 佳郎 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (60364725)
田中 秀和 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (70750983)
水口 学 東洋大学, 社会学部, 教授 (90555624)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 時制の一致 / 主節現象 / フェイズ / 直示表現 / とりたて詞 / 疑問詞移動 |
研究実績の概要 |
主節構造に関わる意味解釈の言語間の差、(i) 時制の一致の有無、(ii) 主節の時制形態素の義務性、(iii) 終助詞の有無、(iv)とりたて詞の共起制限などが本研究の課題である。 このために英語が原文である小説The Catcher in the Ryeと2つの日本語訳(野崎孝訳、村上春樹訳)のパラレルコーパスを構築した。2つの日本語訳には終助詞の使い方や語順などのスタイルに大きな差があるにも関わらず、従属節の時制の一致の有無だけでなく、英語原文の主節の過去形を日本語で現在に訳している箇所がほぼ一致していることがわかった。これは、Discourse Representation Theory(Dowty 1986など)に言及し、談話での英語の時制解釈の推移と文内での主節と従属節の時制の一致が述語のレキシカルアスペクトに依存する同じ現象であると指摘しているGennari (2003)の仮説が正しいことを示す日本語のデータとなり、この点について安井、浅山が19年度に発表予定である。 CPフェイズに関しては、疑問詞の移動と主節構造の関係などについて水口が韓国で招聘発表をした。vPフェイズに関わる日本語の受動態については使役構文との関連を指摘し、韓国語にも同様の現象があることを安井が中国の学会で発表をした。とりたて詞や終助詞を使った省略構文については田中が2本の論文を公刊した。また、今年度7月の中国での終助詞の有無と主節構造のラベリングに関する安井の比較統語論研究の発表が既に決まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、日英語のパラレルコーパスを構築し、記述的研究の基盤が整った。理論的研究についても論文や学会発表を中心にすでに複数行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
The Catcher in the Ryeの中国語訳における時制解釈を次年度は行う。vP, CPフェイズに関しても引き続き、理論的研究を続け、学会誌への投稿をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
水口学がPC購入を2019年度に延期し、海外での学会発表も2019年度に予定しているため、2018年度分の交付金30万円をすべて繰越とした。また、2018年度は学会発表がアジア地域となったため、予定より旅費がかからなかった。2019年度はアメリカでの学会発表が中心となる。
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