研究課題/領域番号 |
18K00555
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
尾鼻 靖子 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60362141)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 役割理論 / 語用論 / ポライトネス / 敬語 / アイロニー / 会話分析 |
研究実績の概要 |
今年度の研究成果は3つあった。ひとつめは、前年度に引き続き著書を執筆し、出版すること。二つ目は、「敬語のアイロニー」について学会で発表し、それを論文にすること。三つ目は、これまで海外の研究協力者と一緒に著書について準備を進めることであった。 まずひとつめの項目であるが、2019年度2月にRoutledge出版社と契約を結んだ著書の出版に向けて、執筆を終え、提出をした。全部で8万4千語の単著である。その後出版社のほうで本著の書評を依頼し、その書評が肯定的であり、どこも修整や改訂をする必要がないと判断され、現在印刷所のほうで校正をしている段階である。日本語のポライトネス研究の集大成として、役割理論を適用して、様々な方向から(社会的、社会心理学的、語用論的、さらに応用言語学的観点)日本語のポライトネスのいろいろな面を分析したものであるが、2020年内に出版される予定になっている。 「敬語のアイロニー」については、6月に学会で発表し、海外研究協力者とさらに話し合うことで、当時論文は1本で充分だと思っていたが、その後のさらなる分析を経て、論文を2本執筆することに決定し、執筆はほぼ完成に達している。日本語で執筆した単著の「敬語のアイロニー」に関する論文は本学の紀要に3月出版された。 海外研究協力者と共著でこれまでの数年間論文を出版してきたが、それにいくつかの論文を加えて、一冊の本にすることを決定し、Routledge出版社(別の編集室)に申し込みをした。その結果審査員2人から出版の価値を認められ、同出版社と契約を交わした(11月)。 現在執筆に向けて準備中である。 さらに、研究課題のひとつである、「呼称」に関しては、図書の閲覧およびデータの収集は少しずつであるが、進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
敬語のアイロニーに関しての共著は、今年度中に出版できるように準備を進めたが、海外協力者のほうで4か月間大学の業務に忙殺され、協力を得ることがほとんどできなかった。しかし、その間、研究代表者は、さらにデータを収集して、分析をしていたので、結果としては、1本の論文を予定していたところが2本執筆できるようになったので、まだ専門雑誌に投稿していないとはいえ、概ね順調であると言わねばならないであろう。 なお、研究課題のひとつである「呼称」のデータは、ドラマや映画などからの収集は順調に進んでいるが、インタビューを行う予定をしていたが、それができなかった。次年度には仕上げたいと思っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、共著であるSociopragmatics of Japanese(仮題)に取り組む。敬語のアイロニーに関しては早急に投稿する。「呼称」の研究に関しては、インタビューを行い、データ分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビューの施行ができなかったため、それにかかる費用が消費されていない。海外研究協力者が図書や物品の購入依頼をまったくしなかった。また研究代表者も、著書の仕上げに時間を費やしたため、新しい課題の図書、データ収集などが予定していたほど行われていない。また、海外研究協力者が日本に来る予定をしていたが、コロナ問題で、延期した。というのが主な理由である。
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