日本語のポライトネスに関して様々な観点から分析がなされてきたが、今回の著書にあるような役割理論を適用して分析した研究はまだ少ない。日本語の敬語やポライトネスストラテジー(方略)は、対話している相手との社会的関係、対話の状況、対話の内容によって、絶えず変化する。それを包括して理論化するのは至難の業であるが、役割理論(特にシンボリック相互役割理論)でどこまで包括的に捉えることができるか、というのが著書の目的である。また国語学者の主張も海外に伝えたいという気持ちもあった。アイロニーに関しては、敬語が含まれるアイロニーは従来のアイロニーの定義に当てはまらないことが分かり、大きな波紋を投ずると思われる。
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